2013/11/27

ダイレクトメッセージ

自分のルーツを探ること

もしこの役がきていなかったら、おじいちゃんのことは知識としてそんなになかったんじゃないかなと思います。おじいちゃんが当時、どういう心境だったか、深くはわかりませんが、戦争が終わったあと必死で勉強して、学校の先生になったんですね。先生から努力して校長先生になって、天皇陛下から瑞宝章というものをもらった。

司法浪人が続き進路を見失っている青年、佐伯健太郎は特攻で死んだ実祖父、宮部久蔵の軌跡をたどりはじめる (C)2013「永遠の0」製作委員会
「永遠の0」は太平洋戦争を過ごした若者たちの生きざまを描く (C)2013「永遠の0」製作委員会

そのことはこの作品に関わる前からなんとなく知ってたんですけど、どういうもので、なぜそれが評価され、おじいちゃんのもとに届いたのか、ということはあまり深く考えてこなかったんです。

けれど、おじいちゃんたちが生きた時代のことを知り、つらい状況におかれながらも努力できる血が僕にも流れていると思うと、この先つらいことがあっても努力できる能力はきっとあるんだと、そういうふうに思えるようになりました。

過去を振り返ることに意味がある

僕は今回、自分のルーツを知ることでとても前向きな気持ちになれましたが、どんなマイナスなことが待っているかもわかりません。知りたくなかった、ということも掘ったら出てくるかもしれない。けれども、自分がなぜここにいるか、ということや自分の生い立ちというものを知ることは人としての成長につながっていくと思うんです。

戦争体験者の世代がいなくなってしまう時代にさしかかっています。今、この時期に「永遠の0」を見ていただいて、もし自分のおじいちゃん、おばあちゃんがご存命であるならば、いろいろ話を聞いて過去を振り返ってみていただきたいと思っています。若い方も今いる自分の状況や、自分の存在を確かめることができると思います。

そのきっかけになるような映画になればいいなと思いますし、またきっかけとなるパワーがある作品だと思っています。

メイク:MIZUHO(vitamins)/スタイリスト:池田尚輝

※次回は12月4日(水)に掲載予定です。

『永遠の0』 百田尚樹の同名ベストセラー小説を『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズを手がけてきた山崎貴監督が映画化。司法試験に落ち、進路に迷う佐伯健太郎は、祖母の葬儀で初めて祖父・賢一郎と血のつながりがないことを知らされる。健太郎はフリーライターの姉の取材を手伝い、特攻で戦死した実祖父宮部久蔵の生涯を調べるため、祖父の元戦友たちを訪ねていく。彼らによると祖父、宮部久蔵は天才的な零戦操縦士だったのに、なぜか「海軍一の臆病者」といわれていた。宮部が残した「謎」を解いていくと、驚くべき“真実”が……。2013年12月21日(土) 全国東宝系でロードショー。 
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