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職場の知恵

「おせっかい」で地域貢献 大学生が汗を流す理由 イベント企画や観光振興策

2013/10/1

プロジェクト事務局を務めるのは兵庫県立大学工学部3年の宮田匠さん(21)だ。現在休学して、地元のマーケティング会社マイルストーンでインターンシップ中。大学1年のときに知り合った同社の小野義直社長と話をするうちに、様々な人と関わりながら一つのプロジェクトを完成させる魅力を知るようになった。「おせっかいという切り口で地域貢献をしたい。各地の大学生に広がれば日本はもっと元気になる」

■実地調査して提言

若者の社会活動を支援するデザイン・ネットワークス・アソシエーション(DNA、群馬県高崎市)は、高崎経済大学地域政策学部の大宮登教授ゼミの学生が中心になって運営する、全国でも珍しい学生NPO法人だ。事業の柱の一つが地域づくり。自分の地域に愛着を持って行動する人を増やしていこうと、実地調査によるまちづくり提言や、地域イベントへの参画といった活動を続けている。

実地調査は毎月行う。8月中旬は石川県穴水町で合宿した。能登で重視されるキリコ祭りでは、漁師の高齢化により担ぎ手がいなくなった巨大な灯籠を学生たちでかついだ。9月頭には京都府の京丹後市網野地区で合宿。朝から夕方まで取材・調査活動を行った後、明け方近くまでミーティングを続ける数日間を送り、外国人観光客も楽しめる自転車観光での地域再生策をまとめた。この2つは総務省の域学連携事業で予算も付いたが、炊飯器持参で宿泊も公民館という合宿だった。

9月23日には群馬県の榛東村で親子を招き、地域の魅力を発見する「スタディーツアー」を行ったばかり。自然散策と親子の対話を促すワークショップを企画した。散策地の手配や役場との連携、小さな子も参加する中での安全対策など、準備が大変だったという。

地域政策学部3年の大井拓哉さん(20)は2年生のときからDNAに携わり、今は地域づくり事業リーダーを務める。地域活動などさらさら興味がなかったが、今では「やっていて楽しいから、どんどん活動の幅を広げたい」と思うまでになった。就活でアピールしたいがための活動ではないが、少々厄介なことでも何とかこなせる自信が付き、「自分の成長を感じる」と大井さん。同級生たちが就活に突き進む中、「こういう形の学びがあっていい」と焦りは感じていない。

NPO法人とちぎ生涯学習研究会(宇都宮市)でも、宇都宮大学の学生が植樹や震災復興ビジネスコンテストなどの活動に力を注ぐ。柴田法幸代表(46)は「就活のために3年から駆け込んでくる学生も多いが、利己では長続きしない。大成するのは1~2年のときから地道に活動を積み上げてきた学生」と力を込める。

いろいろな人々と折り合いながら、その面白さを体感し、社会と関わる力を培っていく。若者たちが地域に目を向けるのは、そんな成長の仕方があることを感じ取っているからかもしれない。

地域活動でコミュニケーション力を
大宮登・高崎経済大学地域政策学部教授の話 NPO法人DNAは、若者が自己成長と社会力(社会に関わる力)を養う場として、2004年に設立した。当初3年間は私が中心となってPLAN(計画)、DO(実行)、CHECK(評価)、ACT(改善)のサイクルを回すための事業や組織作りに必死で取り組んだが、今では大学院生の代表理事を筆頭に、ほぼ学生たちに任せている状態だ。
プロジェクトをつくり、現場に出向き、様々な立場の人たちと直接やり取りしながら、地域が抱える課題にチームで取り組むという手法は、高い学習効果をもたらす。スマートフォンなど便利なツールの登場で、人と対面しなくても個人完結ができてしまう現代では、コミュニケーション能力を育てる機会を持たないまま、就職した途端、その能力を要求される社会に放り出される事態となりがちだ。大人は若者のコミュニケーション能力不足を嘆く前に、若者たちに、地域活動に参加するような機会を与えていく責務がある。

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