苦行もフェスの醍醐味 フジロック、50歳記者体験記1万7000人がテントで寝泊まり

天候の変わりやすい真夏の高原で開かれる野外音楽イベント、フジロックフェスティバル。今年(7月26~28日、新潟県湯沢町)も炎天から雷雨になるなど、3日間とも大荒れだった。取材に出かけた記者(50)は、過酷なロックフェスをどう切り抜けたのか。(編集委員 吉田俊宏、写真は中嶌英雄)

「登山者並みの準備が必要ですからね」

前方は立ち見が原則だが、後方なら座って見てもいい。折り畳みイスを持参する人が多い

フェスの取材を任せていた後輩のT記者がこの春異動になり、こちらにお鉢が回ってきた。「今年は私がフジロックに行くんです」。取材先の音楽関係者に話すと、決まって「ええっ、大丈夫ですか。大変ですよ」と心配された。ご丁寧に「もう若くないんだから」と付け加える人もいた。

ご心配なく。50歳にしては体力ありますから。「なめちゃいけません。会場の苗場スキー場は標高900メートルの高原にあるんです」。知ってますよ。「炎天であろうが、豪雨になろうが、場内では日傘も雨傘も使用禁止なんですよ」。ううむ。「絶対に登山者並みの準備が必要ですからね」。ほとんど脅しである。

傘の使用は禁止だが、豪雨が降り続くこともしばしば。登山用のレインウエアを着込む人が多い

大小10以上のステージ、入り口から奥まで30分

それで登山用品店に通い詰めた。とにかく雨対策が重要らしい。まず買ったのが防水透湿性素材の高機能レインウエアの上下。さらに同じ素材のハット、バードウオッチング用の折り畳める長靴、トレッキング用の防水シューズ、レジャー用の折り畳みイスなどなど、挙げていけばきりがない。ずいぶん散財した。

苗場スキー場の広大な敷地に、4万人を収容するグリーンステージや1万5000人のホワイトステージ、5000人のオレンジコートなど、大小10以上の野外ステージがある。客席に屋根のあるステージは1カ所だけだ。会場内の移動はすべて徒歩。入り口から奥のステージまで30分はかかる。3日間で200組近くが出演するから、タイムテーブルをにらみながら、各ステージを行き来することになる。記者の歩数計は連日、2万歩近くになった。

榊原郁恵のヒット曲「夏のお嬢さん」歌うおじさんバンド

「ザーザーの雨という予報だったのに、見てくださいよ、この天気」。初日の真昼、炎天下のホワイトステージに登場した中年バンド、怒髪天の増子直純が観客をあおる。榊原郁恵の懐かしいヒット曲「夏のお嬢さん」を歌って爆笑と喝采を浴びた。頑張ってるな、おじさんバンド。

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