汗をふきながら次のステージを目指していたら、「冷たいお茶ありますよ~」という涼やかな声が聞こえた。それに誘われ、給水ならぬ「給茶スポット」の列に並んだ。魔法瓶メーカーがマイボトル持参の観客に無料でお茶をサービスしている。何とも粋な計らいだ。
グリーンステージ後方の芝生に、持参した折り畳みイスを広げ、デンと座った。背もたれ付きを選んだから、楽ちんだ。KEMURI、FUN.と日米のバンドを立て続けに見たところでポツポツと……。
キュウリやトマト、1個単位の販売も
雨はいったんやんだが、雲行きが怪しい。早めに腹ごしらえをしておこう。飲食店の屋台が立ち並ぶ「オアシス」エリアへ急いだ。豚汁とおにぎりのセットを頬張って、ちょうど食べ終えるころ、いきなり土砂降りになった。飲食スペースに屋根はない。豚汁が雨の水割りになる前に飲み終えてよかった。
もち豚タレカツ丼、夏野菜とチキンのカレー、牛すじ丼、タイ料理のパッタイなど、屋台めしはどれもおいしかった。野菜不足を気にする50歳にとって、キュウリやトマトを1本、1個単位で売っているのもありがたい。オヤツ代わりに丸かじりである。
会場で配られるゴミ袋、防水ケース代わりに
豪雨は弱まる気配を見せない。いったん宿へ退避することにした。20分ほど歩いて部屋に帰ると、リュックの中までびしょぬれだった。その後はカバンごとゴミ袋に入れて持ち運ぶようにした。
ちなみにゴミ袋はフェスの入り口で配っている。昨年、場内で回収したペットボトルをリサイクルしたものだそうだ。フジロックは分別回収が徹底していて、1日3万~4万人が訪れるのに、ゴミが散乱している光景は見かけなかった。これには感動した。
夜9時半からナイン・インチ・ネイルズのステージがある。しばらく宿でダウンしていたが、取材しなくては。再び会場へ向かう。あがっていた雨がまた降り始めた。やれやれ。遠くから雷鳴も聞こえる。