食品表示、消費者本位に 事業者が独自基準を整備

食の安心・安全が問われる中、分かりやすい食品表示を求める消費者の声に応え、事業者が独自の表示ルールづくりに取り組み始めた。加工食品の原材料原産地の情報を公開したり、食物アレルギー源の原材料表示を拡大したりして、アレルギー症状の子どもを持つ親との信頼関係も築いていく。国のルールにとどまらず、よりよい表示を目指す動きは広がる。
食の安心・安全に対する関心は高まる(東京都世田谷区の区民農園で野菜を栽培する手島さん)

東京都世田谷区の区民農園。同区に住む主婦の手島奈緒さん(50)は区から15平方メートルほどの土地を借りて、無農薬で野菜作りにいそしむ。7月下旬の朝は、ナスとキュウリ、トマト、オクラを収穫した。「野菜は自給自足。肉類と調味料は(千葉市の有機食材の宅配会社である)大地を守る会で買う。スーパーで野菜は買わない」と手島さんは話す。

理由は明快。「小売店の野菜は、どのような農薬を使っているか分からない。表示も知りたい情報がすべて網羅されていない」

不信のまなざしは日本農林規格(JAS)法に向かう。JAS法でカット野菜は産地を表示する義務があるが、ドレッシングをかけたものは加工食品扱いとなり表示義務がない。「カット野菜のようなわかりにくい事例はいくつもある」と消費者や消費者団体で構成する「食品表示を考える市民ネットワーク」(東京都新宿区)は訴える。

独自に切り替え

こうした消費者の声に応え生産者側は食品表示を切り替える取り組みを始めた。全国農業協同組合連合会(全農)は2014年3月末をメドに、JAブランドのみそやしょうゆなど1400品目にのぼる加工食品を対象として独自の表示基準に順次切り替える。加工食品の原料となる主要な農畜産物の原産地名を商品に表示するのが柱だ。ドレッシングをかけたカット野菜の産地も表示することになる。

全農に限らず国内で流通するしょうゆの場合、原材料となる小麦や大豆は外国産が主流といわれる。全農の独自基準で、原産国が分かるようになる。「JAS法にとらわれず、独自に消費者に正確な情報を提供する」(全農)考えだ。 加工食品と並んで消費者の関心が高いのが、食物アレルギー源の表示だ。

東京都内に住むA子さん(40)は昨年夏、5歳の長男のおやつにグミキャンディーを出したが、長男は食べてまもなく、のどがかゆくなり、せきが止まらなくなった。長男はゼラチンにアレルギーがあったが、A子さんはグミがゼラチンでできているとは知らなかった。A子さんはメーカーに問い合わせて詳しい原材料を知った。「包装に表示されていたら買わなかったのに」と残念がる。

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