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市民のお金で地域貢献 NPOバンクの実力と課題

2013/8/6

市民のお金で市民が暮らす地域に役立つ事業を支援し、育てる。全国各地でそんな資金循環の仕組みづくりが始まっている。一般的な預金や投資のような利回りは期待できないが、だれもが住みよい地域づくりに貢献できるという「配当」が付く。どんな取り組みがあるのだろうか。

名古屋市にある一般社団法人しん。精神障害や発達障害を持った人が孤立せずに社会参加できるよう、仲間づくり支援や料理、パソコンの訓練などを4月から実施している。市からの委託事業なので、委託費は出るものの、運営は厳しい。

最初からお金には苦労した。代表の本間貴宣さん(32)たちの自己資金で設立費用は工面したが、市からお金が出るまでの運転資金がなかった。金融機関に行っても「信用力がない」と門前払い。

■スタッフも派遣

重度心身障害児を預かるデイサービスセンターもNPOバンクの融資先(名古屋市のふれ愛名古屋)

そのとき、融資に応じてくれたのがNPOバンクの一つ、コミュニティ・ユース・バンクmomo(名古屋市)だった。180万円を3年間、年利2.5%で借りた。本間代表は「本当に助かった。精神的にも安定した」と話す。

NPOバンクとは市民や企業からの出資を原資として、地域社会が必要とする事業に低利で融資する非営利組織。1990年代半ばに登場し、現在では全国に13ある。中でもmomoは融資先にボランティアの人も派遣して支援するという特色のある活動を進める。

養護学校の放課後などに重度の心身障害児を預かるデイサービスを提供するNPO法人ふれ愛名古屋(名古屋市)。ここも3年前、事業を始めた際に、国の制度で運営費が出るまでの資金をmomoから借りた。その後事業は順調。来年には4カ所目のデイサービスセンターを開く。momoからの融資もこのほど完済。今では銀行と取引ができる。

鈴木由夫理事長(62)は「お金以上にボランティアがありがたかった」と話す。施設に花壇をつくり、子どもたちの外出を手伝い、パンフレットやホームページもつくってくれた。「おかげで子どもたちの介護に専念できた」(鈴木さん)

momoの木村真樹代表(36)は元銀行マン。資金はあるのにNPOには融資をしない銀行に疑問を持ち、2005年にmomoを設立。講演や口コミなどで出資を募り、今では融資件数累計42件、額は9千万円を超える。1件当たりの融資額は200万~300万円。顔の見える範囲の融資にこだわり、今のところ貸し倒れは1件もない。

出資者は500人を超え、20~30代が目立つ。額は一人1万円の場合が多い。配当はなく、元本も保証されない。しかし、ニューズレターなどで融資先の情報を公開し、融資先訪問ツアーも開催。自分のお金が地域に生かされているという実感が得られる。

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