市民のお金で地域貢献 NPOバンクの実力と課題

行政頼みに限界

全国的にもNPOバンクの実績は徐々に伸びている。全国NPOバンク連絡会によると、09年3月時点で全国に12あったバンクの融資累計額は20億円弱。13年3月には13バンクで27億円余りとなった。

ただ課題も多い。低金利で貸し、規模も大きくないため、金利収入では運営経費が賄えない。行政からの補助金や様々な事業委託を受けるか、スタッフは半ばボランティアとして働くしかない。また貸金業などの登録も必要で、そのためのコストもかかる。連絡会はNPOバンクの法的位置付けを確立し、行政からの支援も得られるような新法制定を目指している。

制約の多いNPOバンクではなく、別の形でお金を循環させようという試みも出てきた。市民から出資ではなく寄付を集め、それを原資に地域に貢献する事業に助成する仕組みだ。「市民ファンド」などと呼ばれる。前政権が「新しい公共」事業として予算を付けて後押ししたこともあり、ここ1~2年で全国に40ほど設立されたといわれる。

momoの木村代表も4月、市民ファンドの一つである「あいちコミュニティ財団」を設立した。収益性がある事業にはmomoが融資、収益性がない取り組みには財団が助成する役割分担を考える。ただこちらも寄付を安定的に集め続けることができるかなど課題がある。

いずれにせよ、今後人口の高齢化はさらに進み、政府の財政も厳しい。行政頼みの地域づくりにはおのずと限界がある。そんな中、「私たち一人ひとりがお金の生かし方を考えれば社会をもっと豊かにできる」(NPOバンクの一つ、東京コミュニティパワーバンクの坪井真里理事長)という可能性が広がる。

レンタル方式でも

レンタルの仕組みを使い、お金ではなく、モノで支援する試みも始まる。千葉市で来春に開設予定の児童養護施設が舞台だ。身寄りのない子どもなどが暮らすこうした施設は原則18歳で退居しなければならない。しかし自立できずに困窮する例も珍しくない。そこで、その子たちに家具などの生活用品を無償もしくは低料金でレンタルする。

全国NPOバンク連絡会事務局の藤宗市さん(51)が設立した会社が個人や企業に呼び掛け、スポンサーを募集。スポンサーは物品を購入、それを会社がレンタルする。子どもたちが自立し、レンタルが終了したら、その子たちも新たなスポンサーになってもらう。スポンサーには子どもの状況を定期的に報告する。藤さんは「様々な分野でこの方式は使えるはず」という。

ネットを使って不特定多数の人から寄付や資金を募る「クラウドファンディング」という手法も広がる。地域を支える資金循環はますます多様化しそうだ。(編集委員 山口聡)

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