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ほぼ全品、基準値以下 福島の農産物とどう向き合う 原発事故から2年以上

2013/7/16

東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故から2年以上がたつが、福島の農業は依然として厳しい状況が続いている。福島県が実施している農作物の放射能検査では、ほとんどが国の基準値以下という結果。しかし消費はなかなか回復しない。福島の農作物とどう向き合えばいいのだろうか。

「安全基準を満たしているのだから、気にならない」(中学生と高校生の子どもを持つ40代女性)

「以前福島で食べた野菜がおいしくて忘れられない。その野菜が値崩れしているのを見るのは忍びないので、ここで野菜を買っている。今も食べるとおいしい」(60代女性)

■放射能「心配ない」

福島産有機野菜をふんだんに使った定食が人気のふくしまオルガン堂(東京・下北沢)

東京・下北沢にある「ふくしまオルガン堂」。福島県産の農作物を販売し、それらを使った昼の定食なども出す小さなカフェだ。6月下旬、食事をしていた人たちに「放射能は心配ないか」と聞いてみると、「心配ない」といった答えが次々と返ってきた。

カフェは福島県内の有機農家でつくるNPO法人福島県有機農業ネットワークが今年3月に開いた。同ネットワーク東京事務所の高橋久夫さんは「福島の農産物はきちんと検査していることと、有機農作物のおいしさを知ってもらうことが店の目的」と話す。

産地直送の新鮮な野菜をふんだんにつかった昼の定食は毎回ほぼ売り切れる。「この店の野菜の味を知るとほかで買えなくなる」と言ってくれる客もいる。人気は上々だ。

同ネットワークは東京の荒川区役所でも毎週火曜午後と水曜に福島の有機野菜などの販売会を開いている。区職員労組と区の協力を得て地下の食堂前の一角が即席の売店となる。客は区職員とそれ以外の人が半々。

毎週買いに来るという居酒屋経営の男性(61)は「少し高いけど、新鮮で長持ちする。店でも出している」と言う。桃など単価の高いものが入荷すると1日の売り上げが10万円に達することもある。こちらも順調。

ところが世の中全体の状況は異なる。福島県によると、品目によってばらつきもあるが、県産農作物の出荷量、単価は震災前の水準を下回ったまま。「特に単価が震災前の6~7割の水準でなかなか元に戻らない」(農産物流通課)。荒川区役所での販売を手伝う区職員労組の白石孝さんも「関心を持って支援しようという人とそうでない人の温度差が大きい」と感じている。

価格が戻らない理由としては、消費者離れのほかに、農家に対する東京電力の損害補償もあるとみられる。補償があることを前提に安値で買いたたかれてしまうのだ。そのような農作物は外食など業務用に多く流れるともいわれる。ただ補償はいつまで続くかわからない。

このままでは農業の復興は難しいとして、県も対策を講じている。その柱は情報提供。ネット上に「ふくしま新発売。」というサイトを立ち上げ、ほぼすべての品目の農林水産物について産地別、日にち別に放射能の検査結果を表示している。

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