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インド版カップヌードルの謎? 日本食文化の挑戦

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

最近、出張でインドに行く機会が多いが、現地で興味深い話を聞いた。即席麺市場が急成長しているというのだ。

インドの食文化と言えば、「カレー」というイメージが強いが、日本で生まれた即席麺文化が、はたしてインド社会にどのように浸透し、どのように発展しているのだろうか? 現地から報告する。

まず即席麺市場の概要をつかんでおこう。

世界で最も即席麺が消費されている国がどこかご存じだろうか?

世界最大の消費国はどこ?

表は世界ラーメン協会による過去5年間の推計値である。

最大の消費国は中国(香港を含む)。440億3000万食で世界全体の消費量(2012年で1014億2000万食)の4割強を占める。やはり麺文化の長い歴史を持ち、多くの人口を抱えているのがその要因。次いでインドネシアの141億食、日本の54億1000万食とランキングは続く。これが過去5年間で不動のトップ3である。

上位の顔ぶれを眺めて特に目立つのがインドの躍進。

08年は14億8000万食でブラジルよりも低い11位だったが、その後、急速に成長し、12年にはほぼ3倍の43億6000万食に増加(伸び率194.6%)。一気に5位に浮上した。

全世界での即席麺総消費量は、08年の921億1000万食から12年の1014億2000万食へと5年間で10%程度伸びた計算。同時期の各国の伸び率を見ると、中国(香港を含む)が3.5%、インドネシアが2.9%、日本が6.1%。やや高くてもベトナムが24.3%、タイが36.4%、ブラジルが37.3%だから、インドの伸び率は破格といえるだろう。

成長余地が大きいインド市場

「12億人以上の人口の多さや、対象顧客と目されている中間層の今後の増加を考えたら、インドでの即席麺市場はまだまだ伸びる」(世界ラーメン協会)と予想されている。

ちなみに国民1人あたりが1年で即席麺を食べる量はどの程度なのか?

日本だと約42食。つまり、1カ月に3.5食を食べている計算になる。これが中国だと約33食(1カ月に2.7食)、インドネシアだと約59食(同4.9食)。特に多いのは韓国で約72食(1カ月に6食)。これらは歴史的に麺食文化が浸透しており、むしろ今後の成長余地はそれほど大きくないと言える。

一方、それに比べれば、インド国民1人あたりが1年で即席麺を食べる量は約3.5食にとどまっており、潜在成長性が期待できる魅力的な市場だということが分かる(参考までに、2012年の全世界での即席麺総消費量は1014億2000万食で世界の人口、約70億5200万人で割ると14.4食。つまり、1カ月に1食強を食べているのが世界の平均値になる)。

インド版「カップヌードル」を試食する!

インドのムンバイ市内の食料品店で面白いものを見つけた。

日清食品のヒット商品「カップヌードル」。

日本でよくみかけるパッケージとは異なり、インド風に"味付け"されている。容器は光沢のあるプラスチック。デザインや色合いも日本の商品とはかなり異なるようだ(80グラム、30ルピー、1ルピー=約1.7円)。容器には、日清食品の創業者、安藤百福氏が1958年にインスタントラーメンを発明したという説明文が印刷してある。

一体、どんな味がするのだろうか?

購入して試食してみることにした。

日清食品によると、もともとインドには麺食文化はなく、「一説には北東部のコルカタ(カルカッタ)の中華料理店で出されていた焼きそばがインド全土に広がった」(経営戦略本部)とされる。そのせいか、汁気が少ない焼きそばのようなスタイルで食べるのがインドでは一般的なようだ。

「マスト・マサラ」「スパイシー・ベジタブル」「タンギー・チキン」の3種類。

風味は、いずれも植物の実、種、葉、根などから作られた香辛料のマサラ(カレー)が基本。日本で例えると、マサラは、みそやしょうゆに相当するような伝統的な味付けらしい。

すべての味覚の基本はマサラ

容器には「熱湯を注ぐだけ」と英語で記載されている。日本の「カップヌードル」と同様に、麺にはかやくや調味料がすでについており、単に熱湯を注ぐだけで出来上がる。インドでも簡便性が売り物だ。

まずは「マスト・マサラ」を試食してみる。

熱湯を入れて約3分。麺の表面に、細かいアオノリのようなものが少しふりかけてあるのが見える。香辛料だろうか? スープにドロドロ感はなく、サラサラしている。麺全体が水気を吸うので、ちょうど日本の焼きそばに近い食感だ。

麺は短めでそれにスープを絡めて食べる。風味は基本的にはカレー味。麺がパサパサしてやや腹にもたれる感じがするが、後味がピリッと利いているので、適度に刺激があってバランスがいい。気候が暑いから、確かにこの程度の刺激があった方が心地良いかもしれない。

続いて「スパイシー・ベジタブル」を試食する。

やはり、これも風味はマサラを基本にしたカレー味。ただ、名前のように、食べているうちに徐々にのどの奥にややひりつくような辛さを感じる。インド風の味付けだ。この方がインド人にはなじみやすいのだろう。日本人でも辛い味が好きな人にははまるかもしれない。

いずれにしても、日本の「カップヌードル」とは風味も食感もかなり異なることが分かった。

日清食品の対インド市場戦略とは?

顧客として想定しているのはやや高所得の若者層だという。

インド即席麺市場では食品の世界最大手、ネスレが「マギー」ブランドでトップシェアを握っており、それをインドのたばこ会社、ITCの「イッピー」ブランド、日清食品の「トップラーメン」ブランドや「カップヌードル」ブランド、ユニリーバの「クノール」ブランドなどが追い上げている構図。

日清食品は「地方の一般庶民にはパパママストアを通じた小口の即席袋麺『トップラーメン・ミニ』(35グラム、5ルピー)を売り込み、やや価格帯の高い『カップヌードル』は都市部の簡便性や流行を求める中間層以上の若い所得層に売り込む」という戦略を描いている。

同社の中期経営計画によると、インドを含むアジア地区(インド・東南アジアなど)の年間売上高を12年の40億円から15年には180億円に伸ばす目標。140億円という増加分は、中国・香港地区(114億円)、北米・中南米などの米州地区(119億円)、欧州・中東・アフリカ地区(77億円)など世界の他地域と比べても最も多い。特にインド市場に向けた意気込みは相当なものだ。

「マクドナルド」もインド風に変身

少し話が脱線するが、インドの各都市で見かけた「マクドナルド」のメニューも面白い。インド独自のメニューが工夫されているからだ。

ここでも活躍するのはマサラ。ピリッとした辛みが特徴で、日本でおなじみの「マクドナルド」のハンバーガーとはかなり風味が異なる。

「チキン・マックグリル」を試食してみた。

中を開くと真っ赤な輪切りのトマト。そこにアオノリのような緑色の香辛料が入ったソースが見える。とても鮮やかな色彩感覚だ。

ガブリとかみ締めると、あの独特のマサラの風味が鼻の中に漂ってきた。このマサラがないと、おそらくインドの消費者は納得しないのだろう。やはり、日本人にとってのみそやしょうゆと同じような存在なのだ。

確かに、スーパーで売っているポテトチップスなどのスナック類にもこのマサラがよく入っていることに気が付く。パスタやピザを食べても、なぜか味付けはマサラ風味。「どこに行っても、街角に漂っている香りはマサラ」という不思議な現実が肌身で実感できる。

やはり、味覚の伝統は根本から一気に変わるものではない。日本で生まれた即席麺文化は、インドの習慣に適合しながら少しずつ姿を変え、「新たな食文化」として地元に根付きつつあるようだ。

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