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名門グッチに異変? ブランド帝国PPRが社名変更

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

グッチ、イヴ・サンローラン、プーマなどを抱えるブランド大手の仏PPR(旧ピノー・プランタン・ルドゥート)が、長年使い続けてきた社名をケリング(KERING)に変更した。すでに知名度が高く、世界中の多くの人から愛着が持たれていた社名をなぜ変更したのか? どうして今それをあえて実行したのか?

その背景には、世界市場の変化を見据えた長期戦略とグループの大胆な組織変革が隠れている。今回は業界の「3強」の一角を占める名門ブランド帝国に何が起きているのかについて探ってみよう。

まずは基礎知識として高級ブランド業界の現状を確認しておこう。

「3強」の一角、LVMHを追撃

図に示したのが、業界の「3強」と呼ばれるブランド帝国の概要である。

各ブランドはどれも有名でなじみが深いが、ブランドがどのグループに属しているかは一般にはよく知られていない。

世界最大手はモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)。ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、フェンディなどを所有し、売上高は281億ユーロ(約3兆6000億円)にのぼる。さらにグッチ、イヴ・サンローラン、プーマなどを持つケリング(旧PPR、売上高97億ユーロ)、カルティエ、ダンヒル、クロエなどを持つリシュモン(売上高101億ユーロ)が激しいつばぜり合いを演じながらこれを追撃しているという構図だ(LVMHの歴史については2013年1月11日掲載のコラムを参照)。

「3強」が独立系の買収を繰り返す

このほか、エルメス、シャネル、プラダ、アルマーニ、ティファニー、ラルフローレンなど「3強」に属さない"独立系"ブランドがあり、「3強」はこうした"独立系"ブランドの買収を繰り返しながら経営規模を拡大してきた。ざっくり言うと、これが業界の大まかな成り立ちである。(ちなみに、グッチはイタリアの"独立系"ブランドだったが、LVMHとPPRとが激しい争奪戦を繰り広げた結果、グッチが自ら身売りする形でPPRの傘下に入った。最近では、LVMHが伊ブルガリを買収、さらに仏エルメスの株式も買い進めており、世界中のメディアの関心を集めている)

さて今回、社名変更したケリングの傘下にはどんなブランドがあるのだろうか?

まずはグッチを中心とした高級ブランド部門。イヴ・サンローラン、バレンシアガ、ボッテガ・ヴェネタ、セルジオ・ロッシ、ジラール・ペルゴなどの有名ブランドが目白押し。さらにプーマを中心としたスポーツ&ライフスタイル部門もあり、ボルコム、コブラなどを抱えている。

この2部門がグループの大きな柱になっている。

では、どうしてPPRは愛着のある社名を変更することにしたのだろうか?

これは、ケリングが歩んできた歴史と長期的な企業戦略が密接に絡んでいる。

流通・通販→高級ブランド→スポーツ追加

年表が示すように、ケリングのもともとの母体は、創業者のフランソワ・ピノー氏が1963年に設立したブランド業界に関係のない木材取引会社。最初の変化は91~98年に流通・通販企業の買収に乗り出したこと。特に92年に老舗百貨店のプランタンや小売りのルドゥートを買収したことで知名度が急上昇した。

旧社名のピノー・プランタン・ルドゥートは、ピノー氏とこの時期に買収した企業の名前から付けたもの。ところがライバルのLVMHとの激しい争奪戦の末、99年に伊グッチを買収したことでさらに転換点を迎える。流通・通販企業に加え、高級ブランドが経営の大きな柱になってきたのだ。

グッチがイヴ・サンローラン、セルジオ・ロッシ、ブシュロン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガなどを次々買収したことで、一大ブランド帝国が形成された。

次の大きな節目は、05年に息子のフランソワアンリ・ピノー氏が経営を引き継いだこと。

プランタンやルドゥートは売却、組織改革をアピール

「相次ぐ企業買収で事業分野が広がり、シナジー効果を期待できない分野が目立っている」として、フランソワアンリ・ピノー氏は大胆な組織改革に着手した。06年にプランタンを売却するなど流通・通販部門の分離・処分を加速する一方、07年にスポーツの有力ブランド、独プーマを買収し、スポーツ&ライフスタイル部門を新たな事業の柱に据える方針を打ち出したのだ。

要約すれば、流通・通販企業のグループ→高級ブランドの買収→スポーツブランドの買収(流通・通販企業の売却)という変遷をたどってきたのがこれまでの経緯。つまり、かつてグループの中核だったプランタンやルドゥートは売却され、すでにグループの実態を示す名前ではなくなっていた。そのため、社名変更に踏み切ることにしたというわけ。

さらに「高級ブランドとスポーツ&ライフスタイルの2本柱にした企業体に移行するというフランソワアンリ・ピノー氏が打ち出した基本方針もほぼ8割方は達成されたので、組織改革を社名変更で内外にアピールする意味合いがある」。ピノー氏の右腕、ジャンフランソワ・パリュ氏はこう強調する。グループ内の意識改革を徹底する狙いもありそうだ。

長期戦略として描く将来像もかなり興味深い。

新興市場の成長に対応

ケリングが注目しているのは「中国、インド、ブラジル、ロシアのほか中東、アフリカ、東欧なども含めた新興国市場」。現在、地域別に見ると、全売上高に占める新興国市場(南米、東欧・中東・アフリカ、アジア・太平洋の合計)の比率は38%で今後はますます増える見通し。「こうした市場の変化にグループとして迅速かつ柔軟に対応したい」とフランソワアンリ・ピノー氏は言葉に力を込める。

12年に中国の宝飾ブランド、キーリンを買収したのはその布石ともいえる。すでにパリ、ニューヨーク、香港に拠点をした3地域体制を整備しており、「欧米の高級ブランドだけでグループを構成するつもりはない。アジア市場で成長する良いブランドがあれば今後も積極的に買収する」と意気込んでいる。

社名変更には、こうした新興国市場を重視する姿勢に転換したことを内外にアピールしたい計算もあるとみられる。

ケリングの意味とは?

ところでケリング(KERING)とはどんな意味なのか?

「KER」はピノー家の出身地であるフランスのブルターニュ地方のブルトン語で「家」「すまい」などを表す言葉。世話、手入れ、心遣いを意味する英語の「CARE」も連想させる。それに語尾の「ING」を付けて、「先に向かって動いている様子」を表現したという。フクロウのデザインは、先見性や洞察力、知性を象徴させたようだ。

新興国市場の成長、ファストファッションの台頭、消費者の嗜好の変化……。市場の動向を見据え、長期的な視点から大胆に組織改革のカジを切ったケリング。今後、高級ブランド業界全体はどんな変貌を遂げていくのだろうか。

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