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名門グッチに異変? ブランド帝国PPRが社名変更 編集委員 小林明

2013/6/21

グッチ、イヴ・サンローラン、プーマなどを抱えるブランド大手の仏PPR(旧ピノー・プランタン・ルドゥート)が、長年使い続けてきた社名をケリング(KERING)に変更した。すでに知名度が高く、世界中の多くの人から愛着が持たれていた社名をなぜ変更したのか? どうして今それをあえて実行したのか?

その背景には、世界市場の変化を見据えた長期戦略とグループの大胆な組織変革が隠れている。今回は業界の「3強」の一角を占める名門ブランド帝国に何が起きているのかについて探ってみよう。

まずは基礎知識として高級ブランド業界の現状を確認しておこう。

■「3強」の一角、LVMHを追撃

図に示したのが、業界の「3強」と呼ばれるブランド帝国の概要である。

各ブランドはどれも有名でなじみが深いが、ブランドがどのグループに属しているかは一般にはよく知られていない。

世界最大手はモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)。ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、フェンディなどを所有し、売上高は281億ユーロ(約3兆6000億円)にのぼる。さらにグッチ、イヴ・サンローラン、プーマなどを持つケリング(旧PPR、売上高97億ユーロ)、カルティエ、ダンヒル、クロエなどを持つリシュモン(売上高101億ユーロ)が激しいつばぜり合いを演じながらこれを追撃しているという構図だ(LVMHの歴史については2013年1月11日掲載のコラムを参照)。

■「3強」が独立系の買収を繰り返す

このほか、エルメス、シャネル、プラダ、アルマーニ、ティファニー、ラルフローレンなど「3強」に属さない“独立系”ブランドがあり、「3強」はこうした“独立系”ブランドの買収を繰り返しながら経営規模を拡大してきた。ざっくり言うと、これが業界の大まかな成り立ちである。(ちなみに、グッチはイタリアの“独立系”ブランドだったが、LVMHとPPRとが激しい争奪戦を繰り広げた結果、グッチが自ら身売りする形でPPRの傘下に入った。最近では、LVMHが伊ブルガリを買収、さらに仏エルメスの株式も買い進めており、世界中のメディアの関心を集めている)

さて今回、社名変更したケリングの傘下にはどんなブランドがあるのだろうか?

まずはグッチを中心とした高級ブランド部門。イヴ・サンローラン、バレンシアガ、ボッテガ・ヴェネタ、セルジオ・ロッシ、ジラール・ペルゴなどの有名ブランドが目白押し。さらにプーマを中心としたスポーツ&ライフスタイル部門もあり、ボルコム、コブラなどを抱えている。

この2部門がグループの大きな柱になっている。

では、どうしてPPRは愛着のある社名を変更することにしたのだろうか?

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