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職場の知恵

会社辞めてソーシャルビジネスへ 若者たちの思い

2013/6/18

「ソーシャルビジネスに関わりたい」と考える20~30歳代が目立つようになってきた。社会的な課題の解決にビジネスの発想を取り入れつつ挑む働き方だ。会社を飛び出して身を投じた若者たちは何を思い、どこに魅力を感じたのか。それぞれの思いをたどった。

「皆は10年後、20年後のビジョンある?」「社会貢献活動と仕事って両立できるかな」――。6月上旬の土曜日、東京・池袋の生涯学習施設「みらい館大明」の一室に15人ほどの学生が集まり、交流会を開いた。若者支援事業「おとな大学」の授業の一つだ。

■地域に根ざした生き方がしたい

映画の配給宣伝会社から転じた山本さん(右)は若者が働く力を身に付ける「おとな大学」を運営する

ぎこちなかった参加者も自己紹介やグループ討論で徐々に打ち解けていく。かたわらで見守っていたのが若者支援のNPO法人ニューベリー(東京都豊島区)の山本絵美さん(31)だ。

ニューベリーはニート・フリーターによる貧困など若者が抱える問題解決のため活動している。大学・専門学校の依頼を受けて中退を防ぐプログラムを作成。教育ノウハウの出版、漫画家志望の若者向けシェアハウス運営などが収入源だ。

おとな大学は、高校生から20歳代の若者たちが学び、働く力を身に付ける場をつくろうと豊島区、みらい館大明運営のNPO法人いけぶくろ大明、ニューベリーの3者共同で2011年に始めた。山本さんは事務局の中心メンバー。今や頼られる存在だが、実は1年半ほど前まで映画の配給宣伝会社にいた。

ずっと映画の仕事に憧れていた。大学を卒業して関西から上京。曲折を経て社会派ドキュメンタリーを手掛ける会社に就職できた。阪神大震災を体験してコミュニティーや人同士のつながりに関心があった山本さんには、手掛ける作品も魅力的で充実していた。

転機は東日本大震災。震災当日、人の流れに身を任せて職場から自宅まで歩きながら改めて仕事や生活を振り返った。「映画の仕事も好き。でも、関心があった地域に根差した生き方がしたい」。おとな大学の責任者募集をネットで見付け「これしかない」と応募した。

■今やりたいことをしていきたい

活動資金の確保は常に課題だが、地域の人や若者が助けの手を差し伸べてくれることも多い。「自分の収入やキャリアに不安がなかったわけではないけれど、社会の少し足りないところに自分でアプローチする充実感がある」

▼ソーシャルビジネス 高齢者・障害者の介護や子育て、街づくり、環境保護、貧困などの社会的課題をビジネスの手法を使いながら解決する取り組み。NPO法人や株式会社など多様な組織が関わる可能性を持つ。新たな産業や雇用の創出、地域活性化につながると期待されている。

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