「稚拙でアホだった」復帰の南場智子氏すべてを語るDeNA創業者、初の自叙伝「不格好経営」

2013/6/10

――本業のソーシャルゲームは、業績がかげり始めた。スマホ向け無料通話アプリ「comm(コム)」など新規事業も芳しくない。テコ入れするのか。

「(私に)やれることがあったらやりますけど、ソーシャルゲーム事業や新規事業に関しては守安に全幅の信頼を置いている。これまで乗り越えてきたように、これからも乗り越えられると思っています。コムについても、まだ諦めることはないんじゃない? いろいろとトライして、工夫できることはまだまだあるかと」

「守安にバトンタッチをしたのに、またバトンを取り上げているような誤解をされるのは、すごくよくない」

苦境は「底力を見せるいいチャンス」

「これまでもDeNAは、とんでもないような課題に直面したとき、問題にお尻を向けなかったというか真正面にそれを捉え、まっすぐに乗り越えようとしてきた。乗り越えられたときにはすごく気持ちのいい汗がかけるし、その次に必ずつながる。っていうことを、超おこがましいんですけれども、何となく読者の皆さんにも感じてほしかったんですね」

「それから、どうしようもない状態からどう乗り越えるかっていうのは、その人の人間力とか誠実さとか底力を見せるいいチャンスだと思うんですよ。かつ、『塞翁が馬』じゃないけど、転んだときは必ず何か拾ってやると。そういう気持ちで、ここまでやってきたんだよね、この会社は。だから、今はご案内のような状況になっていますけど(笑)。これからもすごい課題があるだろうけれど、でもきっと乗り越えていけるだろうって確からしさを、感じています」

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脱ソーシャルゲーム依存への挑戦

1999年の創業から丸14年。年商2000億円規模、約5000万人の会員を抱える大企業へと育てた女傑は、相変わらず、自然体だった。DeNA社内やネット業界のみならず、彼女のファンは多い。その最大の魅力は「飾らない」キャラクターだろう。

本書にも存分ににじみ出ている。国内随一のネット企業に育てても、彼女は決してそれを「かっこいい」こととしてひけらかさない。とんでもなく「かっこわるい」歴史があるからだ。しかし、だからこそ今がある。それを「不格好経営」と名付け、一気に、赤裸々につづった。

DeNAの躍進を支えたソーシャルゲームは踊り場にさしかかっている。コンプガチャなど射幸心をあおる手法に歯止めがかかり、一方でスマートフォン(スマホ)が本格普及したことにより、モバゲーなどのゲームサイトに依存しない「パズル&ドラゴンズ」といったスマホ向けゲームが席巻し始めた。

このままソーシャルゲームのプラットフォーム事業に依存し続けるのか。「常に見据えているのはグーグル超えだ」と本書の最後にある。創業者の“DNA”が根付いているのであれば、きっと「不格好」にもがきながらも、脱依存への挑戦を続けるのだろう。

(電子報道部 井上理)

不格好経営―チームDeNAの挑戦

著者:南場智子
出版:日本経済新聞出版社
価格:1680円(税込み)

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