「稚拙でアホだった」復帰の南場智子氏すべてを語るDeNA創業者、初の自叙伝「不格好経営」

2013/6/10

「創業者として大切にしていくものを伝え続ける」

社長退任時、「夫の病気にも勝つ」と言い残した南場氏は、宣言通り打ち勝ち、今年4月に職場復帰を果たした。だが、南場氏のいないあいだ、DeNAをとりまく経営環境は悪化した。右肩の成長を支えていた課金収入は直近四半期(2013年1~3月)に初めて減少、営業利益は2012年7~9月をピークに、2四半期連続で落ちている。
2011年にDeNAはプロ野球に参入。1月にはエスビー食品から陸上部を譲り受けると同時に企業ロゴも刷新している

――復帰後、取締役として、どうDeNAにかかわっているのか。

「守安や春田(真会長)など経営陣と相談をした結果、具体的には『エクスターナルリレーションズ』っていうんですか、対外的な交渉と、あとは採用ですね。そこに重点を置いて、時間を使うことにしています。全般的には、取締役として会社の意思決定に参画するっていうことと、やっぱり、今回この本を書いたように、会社として大切にしていくものは何なのかを創業者として社員に伝え続けていくことを担っていくと」

「ただ、守安にバトンタッチをしたのに、またバトンを取り上げているような誤解をされるのは、すごくよくない。きちんとちゃんと新しい世代に走ってもらわないと困ります。あくまで側面支援という範囲で、有効なところを見極めながらやっていくという感じですかね」

「私には働く女性を語る資格がない」

――人や組織などに対する考え方もスペースをたっぷり割いて書いた。創業者として自らの経営論を伝える役割を果たしたということか。

「稲盛(和夫・京セラ名誉会長)さんみたいにガーっと経営論を書けるような偉大な経営者じゃないので……。しかしながら、経営者として常に気をつけていたことがけっこうあったんですよね。ちょっとしたことにすぎないんですけれど、それがDeNAのDeNAらしさにもつながっていると思うので、一応書かさせていただきました」

――産休や育児支援など制度を充実させる仕事へのやる気が出てきた、とも書いている。

「私には働く女性を語る資格がないっていうのが、まずあるんです。やっぱり女性が男性と一番違うのは、産む性であるというところで、私は産んだことがないので……。男性と同じように、おもんばかることしかできませんので、あまりそこでたくさん語れることがないというか。女性を意識するというのは、私の得意分野じゃないっていうのが正直なところですね」

「ただ、女性に限定せず、男性も同等に育児や介護、あと自分の病気もあるでしょうし、いろんなライフステージがある。だからDeNAを、どういうときでもキャリアとの両立を諦めなくてもいい会社にしていきたいと思って、張りきっています。(夫の病気で)私自身も人生いろんなことがあるんだって、初めて心で感じたというか肌身で分かったので」

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