「稚拙でアホだった」復帰の南場智子氏すべてを語るDeNA創業者、初の自叙伝「不格好経営」

2013/6/10

「でも近くのライバルも重要なんだけれど、経営者としてはそれ以上に、どうやってグーグルやアップルと並んでいくかが重要で、目線はもっと高いところにある。グリーさんが低いみたいで申し訳ないんですけれど、そうじゃなくて、世界ナンバーワンを目指すといったときに、やっぱり世界ナンバーワンの会社を見ていないといけないんだと思うんです」

「たった2人の家族だけれど、やっぱり大きなもの」

南場氏は本書でDeNAの軌跡を振り返る一方、育ててくれた父親、創業期に支えてくれた夫など、私的なことにも言及。特に、世界ナンバーワンという目標への道半ばで守安氏に後任を譲る理由となった夫の病気については、術後にがんが再発したことや、あらゆる治療に挑み、がん細胞が消えたことなど、かなり克明に明かしている。
DeNAは2012年4月には事業拡大や従業員増加に伴い、都内の複合大型ビル「渋谷ヒカリエ」へ本社を移転した

――南場さんにしては珍しく、プライベートな話も多い。

「やっぱり、社長時代はいいにくいっていうか、公私の公が120%(だった)みたいな。社長を退任して、肩の力が抜けたんじゃないですかね。あとは、会社のこと知ってもらうためには、もう少し人間として(の私を)感じてもらった方がいいと思った」

「私、自分の生い立ちが自分でけっこう面白いと思ってるんですよ。書ききれなかったくらい、とんでもないんですよ、わが家は。基本的には父親がすべてで、自分でモノを決められない家。だけど、私にはやたら芯の強い、気の強い父の遺伝子が入っていて、そういう私がモノを決めないで育っちゃったから、けっこうトンチンカンなところがある(笑)」

夫の病気、「感謝の気持ちもこめて、ご報告」

――新婚時代の話など夫もよく登場する。社長退任後の闘病生活の話は、かなり踏み込んでいる。

「小さな、たった2人の家族だけれど、やっぱり家庭というのが自分を支えてくれた大きなものではあったので。この会社のドラマを語るうえで、あるいは私がどういう人か知ってもらうのに、多少は夫の話を書いてもいいと思った。私にとって重要なことなので書きました」

「(病気のことは)やっぱり私が会社に復帰する記念の書でもあるので、書かないと逆に詮索を呼ぶかなって。今回、会社に戻れることになり、感謝の気持ちもこめて、ご報告ってとこですね。結果がこんなふうに出て(がん細胞が消えて)、お医者さんからは西洋医学では説明がつかないといわれました。けれど、一般にできる治療をぜんぶ頑張ってやったっていうだけで、何も特別な魔法をかけたわけじゃないんです」

「ただ、部位はどこだとか、病院名とか、抗がん剤は何を使ったとか、そういうことは書いてない。2人で相談して、書けるところは全部書きました。だから、これ以上のディテールは本人のプライバシーもあるし、もういいません、詮索しないでね、という気持ちもあります」

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