「稚拙でアホだった」復帰の南場智子氏すべてを語るDeNA創業者、初の自叙伝「不格好経営」

2013/6/10

「私はサービスを作る才能はあまりないし、1人の人間が出せるアイデアには限りがある。だから私はDeNAを、会社のいろんなところで情熱のマグマがぐーっとわいていて、各所でいろんなヒーローが出てくる、そういうプラットフォームにしようと思ったんですね。ピラミッドで、とても優秀な人が上に立ち、その人が全力を注ぐかどうかで決まるという組織ではなく」

「最初は私もずいぶんコントロールしようとしていたんですが、結果的に私の知らないところででき上がったビジネスがすごく成功したわけで。モバゲーのとき、これでいいじゃん!って明らかに意識しました。DeNAを、あっちこっちで人が輝けるステージにしていこうと」

ソーシャルゲームで大躍進、「社会と向き合う」

2009年、ソーシャルゲームの「怪盗ロワイヤル」がヒットすると、モバゲーの会員数は1000万人を超え、巨大ビジネスへと昇華していく。一方、利用者が増えるにつれ、社会的な課題に直面する場面が増えた。「GREE」を運営するグリーとの競争も激化、12年には公正取引委員会からゲーム開発会社との関係が取引妨害にあたると指摘された。
「近くのライバルも重要なんだけれど、経営者としてはそれ以上に、どうやってグーグルやアップルと並んでいくかが重要」

――未成年への携帯電話のフィルタリングや、出会い目的の利用といった課題に対し、自ら積極的に向き合った経緯がつづられている。

「社会としっかり向き合います、誠実に問題解決に全力を尽くします、というのは、会社として一貫して高いレベルであたらなければいけないことなんです。違法な出品への対処など、ビッダーズのときから社会的な課題にしっかり対処することを徹底してやってきていた。会社として、社会的にちゃんとした存在であるということを重視してきたんですね」

「それがモバゲーになると、一つひとつの問題のマグニチュードがすごくでかくなって、その対処は、自分がちゃんとやらなきゃなと思いました。相対的に私が年上だってこともあるんですけれど、私もそれくらいの価値を出さないと、社員にも申し訳ないですしね」

「イノベーション(革新)がある限りは、今後も必ず新しい課題が出てくるんですよね。想像もしなかったようなサービスによって、想像もしなかったような使われ方をしたりとか、マイナスを生んでしまうことがある。で、それに目をつぶらず、解決していく姿勢のある会社のみが、イノベーションのメリットをユーザーに届けることを許されるんだと思います」

公取委問題、「ライバルよりパートナーへの意識が問題だった」

――激しくグリーと競合していたからこそ、公取委の問題も起きた。にもかかわらず、全体としてグリーへの言及が少ないように感じる。

「私はあの件では、ライバルがどうだったという意識よりも、パートナー(ゲーム開発会社)さんに対する意識の方が問題だったと思います。やっぱりパートナーを大事に考えていたら、あの事態にはならなかった。そこは我々も姿勢を見直さないといけない。ただ、じゃあグリーさんを意識してないかっていったら、そうじゃなくて、当然、競争相手としてカリカリするところはある。そうやってカリカリしながら競争していくのは、健全なことだと思っています」

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