「稚拙でアホだった」復帰の南場智子氏すべてを語るDeNA創業者、初の自叙伝「不格好経営」

2013/6/10

――結局、オークション事業でヤフーに勝てず、当時、かなり打ちひしがれていた様子が描かれている。どうモチベーションを維持したのか。

「いやぁダメだなって、初めて観念しましたからね。もうヤフーを追いかけるのは無駄だと悟った。まぁ周りから見ればアホですよね。でも現実は引き返せないわけです。ある程度ユーザーさんも集まってるし、仲間も出資者も集まってるなかで、やーめたとはいかない」

「私はDeNAを、会社のいろんなところで情熱のマグマがぐーっとわいていて、各所でいろんなヒーローが出てくる、そういうプラットフォームにしたい」

「経営スタンスが私の中で急速に変わった」

「しかも、やっぱり会社としてチームとしてちゃんと成功したい、っていうのはあって、起業当時の熱病はまだ冷めてなかった。あと、この本を通してのもう1つのテーマなんですけれど、何だかんだいって人材がすべてなんですよね」

「創業から頑張ってきたチームのメンバーを、私はとても尊敬していました。この船で成功にたどり着けないのであれば、世の中に成功なんてないんじゃないかと思ったくらい、メンバーがとても誇らしかった。それが、私が折れなかった最大の理由だと思います」

「いかに(本書に)登場してくる仲間たちが、このクルクルパーを支えてくれたか。マッキンゼー時代は自分に自信があったんですね。チームメンバーは部下っていう感じ。本当は私が全部やりたいんだけれど、手が足りないからやりなさいよっていう意識で。ところが経営者になってみると、自分1人でできることがすごく少ない。自分より得意な人をたくさん集めて、みんなでやんないとダメなんだなって気づいた。あの時期、経営に対するスタンスが私のなかで急速に変わっていきましたね」

モバイルで成長、「好きにやってもらった方がいい」

南場氏は「モバイルシフト」に望みをつなぐ。2004年、エンジニアの守安功(現社長)氏と川崎修平(現取締役兼最高技術責任者)氏らが作った携帯電話向けオークションの「モバオク」がヒット。05年に東証マザーズへの上場を果たすと、今度は携帯電話向けゲームサイト「Mobage(モバゲー)」が大ヒットし、DeNAは飛躍していく。

――パソコン向けのオークション事業で敗北した半面、携帯電話向けでは成功した。

「運がよかったっていうのもあると思いますけどね。ただ、やっぱり私たちがオークションのノウハウを蓄積していて、かつ、モバイルは絶対に来るぞと、非常に合理的な正しい選択をできた。あとは、教科書もなく、手探りでぜーんぶゼロから積み上げてきているので、実行力に関して腰の強さというか、底力がついていた。間違った私の感覚がここを掘れと(ビッダーズなどで)大きな失敗を招くんですけれど、そこで学んだり得たものは大きかった」

――モバゲーは南場さんの関知しないところで生まれた。

「これはやっぱりね、好きにやってもらった方がいい結果を生むってことですね。だって私は(モバゲー立ち上げ直後の)打ち上げに呼ばれて、飲み代を払っただけですから。それであんなサービスができちゃうんですから(笑)。伸び伸びとやったんですよ、川崎も守安も」

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ソーシャルゲームで大躍進、「社会と向き合う」