「稚拙でアホだった」復帰の南場智子氏すべてを語るDeNA創業者、初の自叙伝「不格好経営」

2013/6/10

「DeNAって、私の社長時代はすごく『南場智子さん』が目立っていたけれど、実際は私以外のメンバーの頑張りによって壁を乗り越え、成長してきた。その実態をすごく知ってほしい、という気持ちはありました」

――要するに、私はこんなに素晴らしいチームを作ったんだと、みんなに自慢したかった?

「あのね、その逆で、DeNAって数字上はずっと増収増益で、すごくすんなりときているようだけれども、実際はそんなことない。会社が大きくなって、影響力をいろんな意味で持つようになったけれども、そこに至るまでにはものすごい苦労があって、じつはDeNAという会社が消えていてもおかしくないような失敗もしながら、ここまできた」

「その1つひとつの乗り越え方というのが、私が誇らしいと思う部分であって、みんなにも知らせたいなって思ったんです。一方で、大きくなってから入った社員にも知ってもらい、謙虚な気持ちを持ち続けてほしいとも思った。だから、なんかこう、前向きにいうと『戒め』ってことですかね」

仲間もパートナーも失わずに済んだ創業期

創業当初のDeNAはオークションサイト「ビッダーズ」を主力事業に据えていた。だが、システム構築や資金繰りで波乱が続き、先をいく「ヤフーオークション(現ヤフオク!)」の背中を捉えることもできない。「ネットオークションで業界1位を目指す」と標榜していた南場氏は軌道修正を迫られ、ほかの事業を模索せざるを得なかった。
初の自叙伝「不格好経営(日本経済新聞出版社、1680円)」を6月10日に発売。起業からの七転八倒ぶりなどを赤裸々に告白している

――本書の前半は、創業期の失敗の連続が赤裸々に描かれている。

「まぁ要するに、アホだったということかなぁ。稚拙で、アホで……。だって、私はけっこうロジカルな人なのに、なんであんなてんこ盛りで間違っちゃったのかなぁみたいな。いきなり『アホカミングアウト』みたいな(笑)。恥ずかしいですよね」

――でき上がっているはずのシステムが、じつは何も無かった、という珍事が印象的だった。

「あんなにパニックになっても、(会社を潰すような)致命的なミスにならずに済んだのは、株主や関係者に事態を過小に伝えなかったから。ドツボに陥ったときほど、周りに対して正直で、誠実でなきゃいけない。そうあれたのは、よかったですよね。伝え方で不誠実な部分があったら、お金も続かなかっただろうし、仲間もついてこなかっただろうし」

ヤフーオークションに敗北、「初めて観念した」

「それ以上に重要だなって思うのは2つあって、この本全体のテーマでもあるかもしれないんだけれども、情熱っていうのがすごく大切なんですよね。パッションっていうんですかね。あれだけ間違って時間を失ったりしたんだけれど、でも仲間もパートナーも失わずに何とか来られたのは、正しいことをする以上に、パッションがあったからなんだと思います」

注目記事
次のページ
「経営スタンスが私の中で急速に変わった」