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アジアを魅了「カワイイ」文化 吉本興業の“伝道師” クールジャパンの実像(1)

2013/5/28

日本のポップカルチャーが海外で支持されている現象を指す「クールジャパン」。その言葉が独り歩きしている。今こそ、と安倍内閣はクールジャパンを連呼し、500億円の予算を確保。メディアも機運を高め、政府を後押しする。しかし、政府が盛り上がるほど、クールジャパンの実像はぶれていく。そして、その本当の担い手たちの活躍はあまり知られていない。クールジャパンとは何か。誰が支えているのか。連載でクールジャパンの真実に迫る。初回は「カワイイ」文化を広めようと吉本興業が奮迅するアジアの現場を追った。(文中敬称略)
3月30日に開催された「台湾スーパーガールズフェスタ(SGF)」。藤井リナがランウェーを歩くと大歓声が湧いた

「キャー、カワイー!」「ダイスキー!」。つけまつげに巻き髪、派手なネイルでおしゃれに着飾った10~20歳代の女性が日本語で叫んでいた。「こっち見て」「手を振って」と日本語で書かれた手作りのボードを掲げ絶叫する子もいる。

ここは台湾・台北の大型展示ホール。今年3月30日に開催された台湾最大級のファッションイベント「台湾スーパーガールズフェスタ(SGF)」の会場だ。約8000人の台湾人が熱狂したのは日本のファッションブランドに身を包んだ日本人の人気モデルである。

■アジアで支持を得る日本のファッション文化

オープニングを飾ったのは「snidel(スナイデル)」という日本のブランドのファッションショー。派手な演出とともに人気モデルの藤井リナがランウェーを歩くと、いきなり会場の黄色い声は最高潮に達した。

日本の人気ブランド「snidel(スナイデル)」のステージ

佐々木希、山田優、益若つばさ……。地元台湾の人気モデルも登場する中、歓声が一段と高まるのはいずれも日本人のモデル。「MERCURYDUO(マーキュリーデュオ)」「MURUA(ムルーア)」「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」と、日本の若い女性であれば当然のように知っている日本ブランドをまとい、会場を沸かせていた。

渋谷や原宿を流行の震源とする日本のガールズファッション、カワイイ文化は海を越え、その中核といえる人気ブランドのアジア進出も進む。特に台湾は多くの日本ブランドが出店しており、日本のブランドを集めたセレクトショップも盛況。カワイイ文化はすでに絶大な支持を得ている。台湾SGFの熱狂がその証拠。まさに「クールジャパン」を象徴するシーンといえる。

■拡大した「クールジャパン」

クールジャパンとは元来、日本育ちのポップカルチャーが海外でも人気を得ている現象を指す言葉だった。秋葉原に代表されるマンガやアニメ、ゲームなどの「オタク」文化、そして渋谷・原宿に代表されるファッション文化が代表格とされていた。

ところが2010年、民主党政権下の経産省が「クール・ジャパン室」を設置し、クールジャパンという言葉が国家戦略や政策に使われるようになって以降、様相が変わっていった。

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