不妊治療「あなたも検査受けて」 半数は男性に原因夫婦の協力不可欠

子どもが欲しいのに授からない――。長年、不妊は女性の問題と考えられてきたが、近年の研究でおよそ半数は男性に原因があることがわかってきた。不妊を乗り越えるために、治療を受ける男性も目立つ。少しずつ変わり始めた男性の意識と不妊治療の現場を追った。

浜田さんは不妊治療を受けるカップルに男性の立場から体験を語った(大阪市)

「不妊治療は最初反対でした。今だから言えます。あの時の自分は恥ずかしかったんだと」。大阪市に住む浜田憲明さん(48)は4月13日の土曜日午後に開かれたオーク住吉産婦人科(大阪市)の不妊治療セミナーで、現在小1の長女が生まれるまでの体験を語った。相手は子どもがいない20~40代を中心に三十数人。夫婦そろっての参加が目立ち、熱心に耳を傾けた。

「自然ではない」

浜田さんは8年前に再婚した。7歳年下の妻は高齢出産のリスクを意識して「35歳までに産みたい」と考えたが、1年たっても子どもはできなかった。当時の浜田さんは妊娠しやすいよう妻の排卵日に合わせて性交する「タイミング法」すら「自然ではない」と考えていた。妻が切り出した不妊治療や検査の話に浜田さんは「20代では問題なく(前妻と)子どもが2人できたのに、自分に原因があったらどうしよう」とプレッシャーを感じた。

意を決して臨んだ検査の結果は2人とも「妊娠には問題なし」。夫妻は採取した精子と卵子を体外で受精させて子宮に戻す「体外受精」を選択。1回の失敗を経て妻は妊娠、出産した。浜田さんは明るい雰囲気の病院で多くの男性患者を目にして「不妊も風邪と同じで治療すればいいんだと思ったら気が楽になった」と当時を振り返る。

医学上の不妊症とは通常の性生活を送る男女が2年を過ぎても妊娠できない状態を指す。ただ、晩婚化が進む日本では「女性は年齢を重ねると妊娠が難しくなる現実と向き合う必要がある。男性の意識向上と協力が欠かせない」と自身も不妊治療の経験者であるオークの田口早桐医師は語る。

その一例が、男性の不妊検査だ。妊娠しない理由を知りたい女性が先に検査に出向いても、パートナーの男性に「あなたも検査を受けて」とは切り出しにくい。自分に問題がないならなおさらだ。

不妊治療 費用負担重く 代表的な不妊治療である体外受精などは保険の適用外で費用負担も重い。厚生労働省は2004年度、特別な治療なしには妊娠の可能性が低い夫婦を対象に助成制度を新設、治療1回に最大15万円を給付する。11年度の利用件数は過去最高の11万2642件だった。
不妊治療を経た出産は増え続けている。10年は体外受精出生児だけで2万8945人。全体の出生数のうち37人に1人を占める。