トイレ地図・ゲーム… 行政情報でご当地アプリ開発「オープンデータ」で街おこし

2013/5/7

暮らしの知恵

「オープンデータ」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。公共機関や企業などの持つ大量のデータを、誰でも簡単にアクセスができて編集や再配信もできる形で公開していく試みだ。こうしたデータを街づくりに生かそうという動きが全国に広がりつつある。

「データがあれば今ある技術でこんなことができるんだ」――。4月上旬の平日夜、横浜市内のビルの一室に仕事帰りの30人ほどが集い、熱心に話に聞き入っていた。NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ(杉浦裕樹代表理事、49)が開く勉強会。今回のテーマは「オープンデータと情報デザイン」だ。

住民目線で検討

行政の公開データを生かして何ができるかを住民同士で議論する(横浜市内で開かれた勉強会)

デジタル地球儀ソフト「グーグルアース」を使ったオープンデータ利用の可能性を紹介したのが首都大学東京の渡辺英徳准教授(38)。原子爆弾が投下された長崎の当時の街の写真や被爆者が体験を語る動画などを地図上に配置し、パソコンやスマートフォンで見聞きできるようにした「ナガサキ・アーカイブ」、東日本大震災の被災地写真や位置情報付きの当時のツイート(つぶやき)を地図に関連付けた震災アーカイブ。渡辺さんは「データと少しの技術を持っている人さえいれば、有意義な情報が提供できる」と力を込めた。

国や自治体のデータというと、人口や税収などの統計情報が思い浮かぶが、もちろんそれだけではない。気象や河川水位などの防災情報、工事中の道路や飲食店の新規開業・閉店状況など多岐にわたる。普段は住民の目に触れないものも多いが、うまく使えば行政の透明性向上やコスト削減に加え、企業は商機に、住民には生活の利便性向上につながる可能性がある。

ただ、どんなデータがあり、何に使えるかはまだ手探り。横浜での勉強会も「まずオープンデータを知り、それを街づくりに生かすアイデアを住民目線で考えていく」(横浜ラボの杉浦さん)段階にある。

横浜市もオープンデータに力を入れる。市芸術文化振興財団はイベント情報をオープンデータにし、月300~400件を公開。スマホ向けアプリ開発など活用例が出始めた。税金の使い方を視覚的にみせる英国発祥のサイト「WHERE DOES MY MONEY GO?(税金はどこへ行った?)」の横浜版も、地元の会社員や市議らが横浜市のオープンデータをもとにいち早く作った。

民間でもエンジニア、研究者、企業やNPOの代表らが「横浜オープンデータソリューション発展委員会」を昨年設立。官民が歩調を合わせ、どうすればオープンデータをうまく使えるか知恵を絞る。2月には世界中の都市と連携する催し「インターナショナル・オープンデータ・デイ」に参加。オープンデータで開発したスマホアプリを使う街歩き体験ツアーも企画した。

こうした動きは福岡市や福島県会津若松市など他の都市でも盛ん。一歩先を行くのが福井県鯖江市だ。

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