キャリアが心配 育休3年に延長、女性も疑問の声復帰後の支援策が重要

政府は育児休業の取得可能期間を3年まで延ばす方針を決めた。仕事と子育てを両立しやすい環境を拡充し、女性の活躍の場を広げる狙いだ。今の子育て支援策は不十分と考える女性にとって朗報のはずだが、人事労務管理が煩雑になる企業側に限らず、当の女性の中からも疑問の声が上がっている。なぜなのか。

「これ以上休むと、仕事がなくなる」

21世紀職業財団は育児休業者の円滑な職場復帰を支援するセミナーを開いている

「これ以上、休むなんて絶対無理。会社でできる仕事がなくなる」。情報サービス会社に勤める女性会社員(42)はこう強調する。2011年夏に第1子を出産。育児休業を取得し、この4月に職場復帰したばかりだ。元の職場に戻ってみるとメンバーは半分入れ替わっていた。社外の顧客の状況もほぼ同様。「今でも浦島太郎状態。担当事業の現状に追いつき、理解できるかが心配だ」

地元の認可保育園に入園を希望したが、定員超過で選考に漏れた。会社の規定では育休を来年3月末まで延長できる。育休延長も頭をよぎったが、即座に打ち消した。「今でもギリギリ。これ以上のブランクは考えられない」。認可外保育園を急きょ探し、予定通りに職場復帰した。

育児介護休業法は出産後原則1年の育児休業取得を認めている。政府はこの上限を3年に見直す方針だ。子育て期の負担を軽減し、仕事との両立をしやすくする狙いがある。

ただ制度拡充を不安視する声もある。一番の懸念はキャリア形成の遅れだ。

東レ経営研究所(千葉県浦安市)コンサルタントの松原光代さんは「3年のブランクがあると、会社のコア人材として育てにくい」と強調する。松原さんは子育て期に1日6時間程度に就労時間を抑える短時間勤務について、利用者とその上司にヒアリング調査を11年に実施した。上司のほとんどは「5年短時間勤務をすると遅れは取り戻せない」と答えたという。

単純比較はできないが、職場に足場を置いた短時間勤務で5年がデッドラインなら、仕事から完全に離れる育休3年のブランクも本人にとって相当のハンディだ。

働く女性も長期の取得だけを願っているわけではない。りそなグループの育児休業は最長子どもが2歳1カ月になるまでだ。女性活用に取り組むために女性社員の代表による経営直轄の諮問機関を組織した。そこで女性自らが議論し、会社に提案した制度だ。

「3歳まで認める企業が多くあることも認識していた。ただ長く休むよりも復帰とキャリア形成の支援策を手厚くし、一線で戦力として活躍できる環境を整えてほしいとする女性の声が強かった」(りそなホールディングスのダイバーシティ推進室)。

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