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「待機児童ゼロ」実現例も 国・自治体、柔軟に対策 カギはやる気と知恵

2013/4/15

「働こうにも子どもの預け先がない」。母親たちの怒りが広がる。認可保育所に入れない待機児童問題が言われて久しいが、状況は改善しないままだ。その中で横浜市のように改革に取り組み、待機児童ゼロを実現しつつある自治体も出ている。カギはトップのやる気と現場の知恵。国や自治体の本気度が試される。

トップの一言で取り組み姿勢一変

4月に開園した「おおくらやまえきまえのぞみ保育園」(横浜市)

玄関を入ると正面に昼間撮られた子どもたちの映像が流れている。ケースの中には「きょうの献立」の見本。午後5時を過ぎると迎えの父母が次々に訪れ始めた。「2人一緒に入れて本当に助かりました」。双子の2歳児を預けている母親が話す。ここは4月に開園したばかりの「おおくらやまえきまえのぞみ保育園」。横浜市が今年度新たに開いた認可保育所の一つだ。

横浜市は2009年8月に林文子市長が就任し、「13年4月に待機児童ゼロ」を掲げて改革に取り組んできた。佐藤英一保育対策課長は「市長の発言で、庁内の雰囲気ががらりと変わった」と言う。

まず取り組んだのが認可保育所の拡充だ。10年度には23カ所、11年度には49カ所、12年度は年度途中に開園したものも含めて74カ所を新設した。定員は3年で1万人以上増えた。市が独自に認定する主に0~2歳児を対象にした横浜保育室や、NPOなどに委託する家庭的保育事業も充実。12年度の保育所関係予算は157億円に達した。

土地確保にも知恵絞る

施設整備に加えて力を入れたのが、きめ細かいニーズ把握と情報提供だ。「保育コンシェルジュ」と呼ぶ職員を配置して保護者の相談に応じ、健康診断の場などに出向いて声を聞く。認可保育所に入れなかった保護者には電話で安心して預けられる認可外保育所の情報を提供する。より現場に近い区に市のこども青少年局との兼務係長を置き、保育ニーズの把握にも努めた。

佐藤課長は「ハードとソフトを組み合わせて対策を打った」と話す。大改革となれば“抵抗勢力”もいたはずだが、小泉宏保育所整備課長は「目標が明確だったので、現場は動きやすかった」と言う。

土地の確保にも知恵を絞った。鉄道や道路の高架下などの活用に加え、ひねり出したのが土地の所有者と保育所経営者を仲介するマッチング事業。不動産業者にも働きかけて地主に土地の提供を呼びかけ、全国の保育事業者にダイレクトメールで参加を募った。2年間で18の認可保育所がマッチング事業で誕生した。

「おおくらやまえきまえのぞみ保育園」もその一つ。「こうした一等地に開設できるのは事業者にとってもありがたい」。社会福祉法人春献美会の橋本周理事は話す。横浜市は10年4月の待機児童が1552人で全国で最も多かったが、12年4月は179人に減り、今年4月はほぼゼロを達成できたもようだ。

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