予約の取れない写真館 我が子の姿、自然かつ大胆にスタジオにも一工夫

2013/4/14

ブームの予感(日経MJ)

家族の思い出を記録する写真館が大きく変わろうとしている。正装してカメラの前に立つ記念撮影型から、よりカジュアルな表情を切り取るスタイルに変わりつつある。自然光を取り入れたり画像を合成したり手法は様々だが、日常の楽しさや幸福感を引き出そうとする点が特徴だ。SNSで日常の様子を画像で公開する機会が増え、家族写真へのニーズが変わっている。
スタッフが子供の笑顔を引き出す(埼玉県越谷市のライフスタジオ越谷店)

 「ほらシャボン玉だよ、キレイだね」――。3月下旬の平日、写真館「ライフスタジオ越谷店」(埼玉県越谷市)のスタジオでうれしそうにシャボン玉を見上げるのは、生後10カ月の男の子。無邪気でかわいらしい表情を一瞬たりとも逃さぬよう、カメラマンがシャッターをきる。この時期だけのおむつ姿やお母さんに抱かれて満足そうな表情など、1時間で数百枚を撮影した。

韓国流を持ち込む

アップルツリーファクトリー(相模原市)が運営する写真館「ライフスタジオ」は首都圏を中心に15店を展開している。韓国で広く人気の撮影スタイルを李濟旭社長が2006年に日本に持ち込んだところ、コミュニティーサイトやブログなどを通じて広がっていったという。予約はインターネットで半年先まで受け付けているが、毎日、日付が変わる夜中にアクセスが集中し、あっという間に埋まってしまう。

無邪気でかわいらしい表情を逃さない

東京都足立区に住む男の子の母親は、友人がこの写真館で撮影した子どもの画像をフェイスブックに載せているのを見て予約した。「一般の写真館の写真は衣装が違うだけでどこも表情や背景が同じ。ここなら子どもの一番いい表情を撮ってくれると思った」という。

小学校入学を控えた池上成くん(6)は新しいスーツとランドセルを身にまとってスタジオ入り。ところがカメラマンとアシスタントの斬新な提案に応えてシルクハット風の帽子をかぶって紳士を気取ってみたり、シャツをズボンから出してワイルドに決めてみたり、従来の記念写真とは大きく異なるポージング。母親は「ママの間で話題の写真館。どんな表情を撮ってくれるのか家族5人とっても楽しみ」と笑う。

ライフスタジオの特徴の一つは被写体の自然な表情を引き出すスタジオ作りにある。越谷店は中古車販売店を改装した3階建てで、自然光が入る大きな窓のそばに欧州車を置いたり、子どもサイズのキッチンを設けたり、客が喜びそうな内装を社員総出で作り上げる。

蒔田高徳商品デザイン室長によれば「リピーターも満足するよう、内装は定期的に作り替えている」。自然の光を重視するため、ショッピングセンターや雑居ビルではなく、住宅街の一軒家を借りるなど出店先も独特だ。

料金は、1時間から1時間半で3場面を撮影して2万9400円。数百枚の写真の中からカメラマンが75枚を選び出し、CDデータとして渡す仕組みだ。利用者はポストカードにしたりカレンダーにしたり、SNSに投稿したり、何度も自由に活用できる。別料金を支払えば、フォトアルバムやフレーム加工も受け付けている。

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