まもなく春の入学シーズン。真新しいランドセルを背負った小学1年生のかわいらしい姿を見かけると、大人の心も弾む。ただ、いわゆる「早生まれ」の子どもの親にとっては、小学校入学の喜びと同時に不安が募る時期でもある。同じ学年でも最大で1歳近く幼いため、「授業についていけるか心配」「体も小さいみたい……」など、生まれが遅いゆえの成長差が気になるのだ。ところで、この「早生まれ」という言葉、同じ学年の中では誕生月が遅く、年を取るのも遅いはずなのに、なぜ早生まれと呼ぶのだろうか。
1年のうちで早い生まれが「早生まれ」
湯川秀樹 | 物理学者・ノーベル賞受賞 | 1月23日 |
江崎玲於奈 | 物理学者・ノーベル賞受賞 | 3月12日 |
小泉純一郎 | 元首相 | 1月8日 |
長嶋茂雄 | 元プロ野球選手 | 2月20日 |
中田英寿 | 元プロサッカー選手 | 1月22日 |
松任谷由実 | 歌手 | 1月19日 |
松田聖子 | 歌手 | 3月10日 |
水木しげる | 漫画家 | 3月8日 |
柳井正 | 経営者 | 2月7日 |
三木谷浩史 | 経営者 | 3月11日 |
(日付は誕生日、敬称略)
辞書によると、早生まれの定義は「1月1日から4月1日までの間に生まれたこと。その人」(岩波国語辞典第7版新版)。小学校の学年は「4月1日に始まり翌年の3月31日に終わる」と国は定めており、4月1日に満6歳になっている子どもが入学できる。早生まれという言葉は、特にこの小学校の入学時期で話題になることが多い。
4月~翌年3月という年度でみれば、早生まれの子どもは、年度初めのころに生まれた子どもに比べ、場合によっては1歳近く幼い。たとえば4月2日生まれなら、入学式の時点ではすでに7歳になっているが、早生まれ、それも3月後半の生まれだと約1年後にやっと7歳になる。入学式から終業式までのほぼ1年間は、6歳児のままで、同学年の中で最も幼い方に属する。
実はこの早生まれ、4月~翌年3月の「年度」の中で比較しているのではなく、1~12月の「年」の中で見て、早い、遅いと比べているのだ。同じ年の生まれでも、1月1日から4月1日までに生まれた子どもは、4月2日以降に生まれた子よりも1年早く小学校に入学するから「早い」というわけだ。
由来は数え年
しかしそれでも、早生まれと呼ぶのは違和感がある。それもそのはず、この言葉は、日本で60年ほど前からあまり使われなくなった「数え年」という年齢の数え方に由来する。
数え年と言われてもピンとこないかもしれないが、日本は古くから、現在使われている「満年齢」ではなく、「数え年」で年齢を数えてきた。生まれた瞬間(年)を1歳として、その後、正月(新年)を迎えるたびに1歳ずつ加える方式で、同じ年に生まれた人は、誕生日に関係なく、正月が来ればみんな一斉に年を1つ取る。