MONO第40回公演「うぶな雲は空で迷う」軽妙なやり取りの奥に生きる切なさ

舞台は誰かがヘマをしてとがめられ、ぬるい言い訳をするという展開が続くが、ほのぼのとして温かい。今回は土田ら気心の知れたMONOの劇団員5人だけの出演。怒ったり泣いたりしつつも、今に至ったこの劇団ならではの信頼関係が舞台の土台になっているからだろう。

自らの存在価値に自信をなくしてマスクをかぶった5人(撮影・谷古宇正彦)

軽妙な会話に織り込まれているため右から左へと聞き流してしまいそうだが、キーワードと思えるセリフがいくつかある。「え? こんな辺鄙(へんぴ)な場所にいるの?」「時間っていつの間にかたっちゃうんだよ」などだ。日々の生活に追われているうちに気付いたら思い描いた場所とは全く違う立ち位置にいて、「何をやってきたんだろう」と落ち込んだ人は少なからずいるはずだ。どこで、道を踏み違えたのか。「地面に隠れた入り口とかあるんじゃないかって……」のセリフには、そんな感慨の比喩に感じられた。

だが、悲嘆することはない。思い描いた場所とは違っていても、物事は万事、受け取り方次第だ。何事かを長い間続けていればこそ、できることがある。それが、結成24年に至った劇団に対する土田の思いであり、作品に込めたメッセージなのだろう。なぜならば、土田作品はこれまで希望を見いだしにくい形での結末が多かったにもかかわらず、今回はこのままで行こうという展開を用意したからだ。

(編集委員 小橋弘之)

3月8~11日まで大阪市のABCホール。同16、17日に北九州市の北九州芸術劇場。同23~31日まで東京都港区の赤坂レッドシアター。

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