アート&レビュー

アート

「フランシス・ベーコン展」 技法と人物像から探るベーコン絵画の秘密

2013/3/20

東京国立近代美術館で開催中の「フランシス・ベーコン展」(5月26日まで)はベーコンの絵画の生々しい迫力を間近で体験できる貴重な機会だ。会場では、ぜひともカンバスに近寄り、絵の具の跡に目を凝らしてほしい。そこには、あっと驚くような創作の秘密が隠されているからだ。ここではベーコンの絵画を楽しむいくつかのヒントを紹介しよう。まずは、アトリエの秘密から――。

「画家のアトリエは科学者の実験室のようなものなのかもしれない」。生前のインタビューでの言葉通り、ベーコンは30年以上にわたる創作の場となったロンドン・サウスケンジントン地区のアトリエで様々な「実験」を繰り返している。2001年に生地であるアイルランドのダブリンにアトリエが復元されたのを機に、その詳細が明らかになってきた。アトリエから移された7500点もの資料や画材などの調査が進んだからだ。

ダブリン市立ヒュー・レーン美術館内に復元されたアトリエ。8×4メートルのその小さな部屋の様子は入り口や窓からのぞけるようになっている。それにしてもすさまじい。イーゼルの周りには紙や写真が散乱し、足の踏み場もないほど。テーブルや棚の上には絵の具がこびりついた画材が山積みになっている。このアトリエからはおびただしい数のモノが発見されたが、ただ1つ、見つからなかったものがある。ベーコンの「パレット」だ。

一般的な絵の具や道具のほか、家庭用ペンキ、スプレー式顔料、顔料をすくうのに使ったと思われる食事用ナイフやスプーン、ペンキを塗るためのローラー式スポンジなども見つかっている。自由奔放な画家はパレット代わりに絵の具チューブが入っていた紙箱、皿、ボウルなどを使っていたらしい。さらにはドアや壁、天井の板で絵の具を混ぜたり、色を試したりしていたようなのだ。色鮮やかな抽象絵画のような絵の具の跡は、復元されたアトリエ内で目にすることができる。

ベーコンの所蔵品(右から)「映画『戦艦ポチョムキン』の一場面の印刷物の切り抜き」「映画のプログラムの1ページ」「ベラスケス作『教皇インノケンティウス10世の肖像』の印刷物」(C)The Estate of Francis Bacon.All rights reserved.DACS&JASPAR, Tokyo. 2013 Z0019

アート&レビュー 新着記事

ALL CHANNEL