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ブームの予感(日経MJ)

2013/3/10

ブームの予感(日経MJ)

まずは仕組みを変えることから

赤松氏の「ラブひな」など約440作品をそろえる

サイトは赤松氏と、大学時代の友人ら5人で運営する。収入はトップページの広告と、成人向け作品にかかる月105円の課金だけ。サーバー代になるかならないかで赤松氏の持ち出しが続く。

「ベンチャーが最初からもうけようとしてはダメですよね。寡占してしまえばどうにでもなる。作家のためになるのが大前提ですが、色々アイデアはあります。まずはファイル共有ソフトをはじめ、作家を搾取しようとする仕組みをやっつけちゃおうと思っています」

TPPに危機感

根底にあるのは、日本の漫画文化を守りたいという思いだ。環太平洋経済連携協定(TPP)にも危機感を抱く。著作権法違反を、著作権者の告訴無しで摘発できるようになる可能性があるためだ。昨年12月、著作権の有効な活用を目指すNPO法人、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)に新たな許諾方式を提言した。

特典グッズの原画やゲラ

「今まではコミックマーケット(コミケ)の同人誌も、作家が黙認していれば良かった。(キャラクターを使って別のストーリーをつくる)2次創作は大事なファン活動の一部だし、読んだ人が興味を持って原作を買ってくれる可能性もあります。それがTPP参加でダメになりかねない。私自身も大学時代は同人誌を売っていました。漫画全体の層の厚さにも関わる問題です」

「CCJPには同人誌向けの新しいライセンスマークを提案しました。2次創作はいいが性行為の描写はダメ、アニメ化やゲーム化もOK、など3種類。著作権者が自分の作品にマークをつけて意思を明示するわけです。CCJPが認めれば私の次回作で使います」

もともと編集者を志していた

昨年3月に9年にわたる連載を終えた「ネギま!」は、コミックスで約1900万部を発行するヒットになった。今夏、新作の連載開始を予定している。

「3作連続でヒット作を出すのは本当に難しい。次を外したら引退しようと思っています。例えば、作家の代理人として作品を宣伝したり、電子書籍をアップロードしたりする仕事をしたい。もともと編集者を志していましたし、創作者のためにクリエーティブな環境を整える方が好きなんですね」

あかまつ・けん 1968年生まれ。高校時代にパソコンゲームを自作してソフト会社に持ち込むなどIT(情報技術)に詳しい。大学時代から漫画を描き始め、93年にデビュー。週刊少年マガジンを中心にラブコメ系の作品を連載し「魔法先生ネギま!」「ラブひな」など主要3作の合計発行部数は約3200万部。

(石森ゆう太)

[日経MJ2013年2月13日付]

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