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ブームの予感(日経MJ)

2013/2/24

ブームの予感(日経MJ)

女性向けキャラクター玩具などを扱うラナ(大阪市)は昨春、数十年ぶりに国産ソフビの販売を始めた。名前は「エドネーション」で、姿は「ミッキーマウス」。全量の製造を東京の下町に残るソフビ工場が担う。

百花繚乱が新しいファン呼び込む

CCPのソフビ人形は盛り上がった筋肉やスーツの微妙なシワなど精密な造形が特徴

主力サイズだけで74色を展開し累計販売は2万個に迫る。福本良・企画開発チームチーフマネージャーは「ヒットした色も原則、再生産しない。常に新色を展開し、商品を回転させる」と語る。購入者の過半は女性だ。

工芸品のようなソフビを作るのはCCP(東京・足立)。「キン肉マン」に登場する「超人」ソフビの筋肉は極めてリアル。延藤直紀社長は自衛官、プロキックボクサーを経験し、筋肉の知識に絶対の自信がある。

造形を突き詰める一方、ソフビと貴金属を併用した商品など話題作りにも熱心だ。プラチナのマスクにルビーの赤い目を付けた超人ソフビは45万円だったが、限定5個が瞬く間に売り切れた。

石坂氏の推計によると「現在のメーカー数は90社前後で、この約15年の間に10倍になり、今後さらに増える見込み」。冒険的な発想、多品種少量生産を受容する懐の深い市場が次々と新規参入企業を呼び込む。その百花繚乱(りょうらん)ぶりが、さらに新たなファンを招く好循環を生んでいる。(堀大介)

▼ソフビ 広義には塩化ビニールなどで作る人形。実際には材質だけでなく、安価に金型が作れる商品を指す例が多い。
 まず粘土で作った原型をロウで複製。これに銅メッキを施し、ロウだけ溶かして中空の金型を作る。金属を切削するプラモデルやフィギュアの金型に比べると「投資額は10分の1以下で、数十万円でもできる」(石坂氏)。
 製法には日本独自のノウハウが多く、世界的にも珍しい。金型は安価ながら劣化しやすく、人形を型から抜き取る作業は熟練職人の技術が必要で量産性は高くない。このため大手玩具メーカーの一部幼児向け商品を除くと、多品種少量生産で希少性を打ち出すメーカーが多い。

[日経MJ2013年2月6日付]

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