ヨーロッパ企画イエティ公演「さらば、ゴールドマウンテン」大阪舞台に軽いタッチでコミカルに

「日本一景気のいい演劇」を目標に掲げて作ったという「さらば、ゴールドマウンテン」は、いかにも関西的な乗りのコミカルなストーリーで観客の笑いを誘う舞台だ。登場人物は名案を考えたつもりでいて、底の浅さを露呈する人物ばかり。閉塞感が強く、変で嫌な事件が毎日のように起きている社会状況だけに、軽いタッチの楽しい舞台があっていい。

インフレの進行に見合った代金を払おうとするサラリーマン(ヨーロッパ企画提供)

今作は大阪の庶民の町・新世界にある居酒屋での1夜の物語。東京から転勤してきた会社の後輩・加藤に、増田が先輩面をして「せやから、俺らみたいな小さな会社は知恵を絞って……」と少し巻き舌で説教する場面から始まる。誰もがどこかで耳にしていそうなやり取りが、大阪出身の俳優と東京からの客演俳優によって自然な大阪弁と標準語で繰り広げられるので、観客はスッと物語に入っていける。

増田は続けて、「ゼニはなくても、人を心から楽しませんねん」「うそでも、ええねん」と大阪人の心情を教示。この後、河岸を替えようとママに勘定を頼んだところから、増田たちのあたふたが始まる。飲みほうけている間にハイパー・インフレが起きて物の値段が猛烈に上昇していたのだ。この騒動に、増田たちとは対照的なスタイリッシュなサラリーマン2人と「社長」と呼ばれる常連客、金融業者の億田が絡む。

パソコンを叩(たた)いてインフレの急激な進行に頭を抱えるサラリーマン。せこい手を使ってインフレを逆手に取ろうとする社長と、金(きん)の値打ちを力説する金融業者の億田。増田は自身で考えることをやめ、一見、名案と思われる手立てを講じた人物にすり寄ろうとする。

インフレを逆手に取ろうとする社長(左から3人目)=ヨーロッパ企画提供
強気の金融業者・億田(左)(石田剛太)=ヨーロッパ企画提供

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