小説の現場で聞けば主人公気分 オーディオブック堪能術

目を患って以来、20年近く高齢者や障害者にも使いやすいお役立ちグッズやサービスの取材を続けてきた筆者(56)が、実体験に基づいてご案内する「シニアの道具箱」。高齢者にこそお勧めの電子ブックを取り上げた前回に続き、今回は耳で“読む”オーディオブックと大活字本の使い勝手を確かめてみた。(ジャーナリスト 高嶋健夫)
オーディオブック配信サービス「FeBe」サイトのトップ画面

「耳で読む」新しい読書スタイル

「欧米にはあるのに、なぜか日本では普及しなかった文明の利器が歴史上2つある。1つは馬車、もう1つはオーディオブックだ」。以前、こんなことを言っていた人がいた。

オーディオブックとはその名の通り「耳で聞く録音図書」のこと。主に「CDブック」などとも呼ばれるパッケージ型と、音楽や電子書籍と同様にインターネットで購入して、スマートフォン(スマホ)など、各種デジタル端末で楽しむダウンロード型とがある。欧米、とりわけ米国では早くからカセットテープ版やCD版の録音図書が市民権を得ていて、ベストセラー作家自身が朗読した作品も多数リリースされてきたという。

通勤にしろ、旅行にしろ、広い国土をクルマで長時間移動するのが当たり前のお国柄ゆえ「運転しながら耳で本を読む」という習慣が根付いたのだろう。

これに対して、日本ではソニーの「ウォークマン」が登場した1980年代前半ごろからようやく広がり始め、ビジネスパーソンが通勤電車の中で、英会話や資格試験のテキスト本を聞く姿を目にするようになった。

その後、米アップルのiPod(アイポッド)など、デジタル携帯音楽プレーヤーの登場で普及に弾みがつき、スマホが普及したここ2、3年で市場は急拡大している。

脳トレ、仕事術といった自己啓発本やビジネスノウハウ本を中心にコンテンツも急増中で、紙の本とさほど時期を違えずに発売されるタイトルも多くなってきた。

小説、エッセーなどの文芸作品のタイトル数も着実に増えてきている。特に小説は有名俳優やプロの声優がナレーターを務める作品が多く、1人のナレーターが全編を朗読するもの、BGMや効果音などが入ったもの、複数の声優が主要登場人物を演じ分けるドラマ形式のものなど、コンテンツの作り方も多彩だ。

8000タイトル以上を入手できる専門サイト

では、ダウンロード型オーディオブックの使い方を、オトバンク(東京・文京)が運営する専門配信サービス「FeBe(フィービー)」を例に紹介しよう。

利用方法は、音楽や電子書籍とほぼ同じ。パソコンで「FeBe」サイトから無料会員登録(アカウント作成)し、ビジネス、自己啓発、教養、文芸・落語などジャンル別のリストから欲しい本をクリックして購入・ダウンロードする。

各タイトルには著者名、価格、出版社などとともに「〇時間〇分」と録音時間が表示されていて、6~8時間が平均的な“読了時間”だそうだ。