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ブームの予感(日経MJ)

2013/1/27

ブームの予感(日経MJ)

バルミューダの空気清浄機 集塵に絞り機能磨く

バルミューダ(東京都武蔵野市)が昨年11月に発売した空気清浄機「ジェットクリーン」(4万6800円)の高さは70センチ。最大出力に設定すると、うなりをあげて空気を側面から吸い込み、上部から吹き出す。やがて天井から壁を伝って部屋の反対側から風が循環するのを感じる。寺尾玄社長(39)は、清浄機というよりも「空気の掃除機」と表現する。

「ジェットクリーン」は毎分最大6000リットルの吸引力を誇る(バルミューダの寺尾社長、東京都武蔵野市)

家電製品は多くの人が既に持っている。「売るために重要なのは販促や価格ではなく『これで生活が良くなる』という実感だ」。寺尾社長は27歳でモノづくりを志し、町工場に飛び込み一から学んだ。会社設立は03年。最大の強みは「常識を疑う素人であること」。

清浄機で大手が競うイオン放出機能は「効果が確認できない」として一顧だにせず、集塵(しゅうじん)力に全精力を注いだ。毎分最大6千リットルを吸引し、細かく折り畳まれた全長8メートルのフィルターでホコリを除去する。花粉のような大きな粒子の捕捉力も高い。その集塵力ゆえ、フィルターは1年交換を推奨する。

2010年に発売した扇風機「グリーンファン」がヒット

同社が「風の改革」に挑むのは2度目。10年に発売した、2重構造の羽で自然な風を再現する扇風機「グリーンファン」は、特殊なモーターを使い消費電力が最小3ワットと従来品の数分の1。節電需要も捉え、12年は前年の2倍を生産しながら品切れ店が続出した。

もはや進化はないと思われた成熟市場に投じた一石。発案当初、周囲からは「やれるなら大手がやってるよ」との声も投げつけられた。生活家電はベンチャーが挑むには困難な分野に見えるが、寺尾社長は「デジタル化不能で、最後までアイフォーンに取り込まれない」と有望視する。

次に狙う市場は欧州。「消費者の理解力が高く、世界に通じるブランド力をつけられる」。昨年9月に独ベルリンの家電ショーに出展し、バイヤーらから好感触を得た。現地法人を設け、今春にも新風を吹き込む。(石森ゆう太)

[日経MJ2013年1月14日付]

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