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扇風機やライトで成功 ベンチャーに学ぶ成熟市場攻略法

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 扇風機や卓上ライトといった生活家電で、日本のベンチャー企業が新機能を加えた商品を次々と生み出している。多くの家庭にある製品は大手メーカーが改良を重ね、消費者の不満は目立たない。だが、完成されたと思われている分野でも、根本から疑問を持てば隠れていた「便利」がみつかる。各社は新発想で技術を組み合わせ、果敢に成熟市場の進化に挑む。

グラモの万能リモコン端末 全ての機器を1台で操作

「ただいま」とスマートフォン(スマホ)に一言。すると部屋の照明が点灯し、エアコンが動き出し、テレビのスイッチが入る。

2011年に設立したグラモ(埼玉県新座市)の「アイリモコン」(約2万5千円)はスマホを家電の万能リモコンに変える端末だ。「10年前の製品でもスマート家電に変身する」と後藤功社長(36)は言う。

まずスマホやタブレット(多機能携帯端末)に専用アプリをダウンロードしテレビ、エアコンといった製品ごとにメーカー名などを選択する。すると各機器のリモコンの機能がスマホ・タブレット画面上の仮想ボタンに割り振られる。

アイリモコン本体は手のひらサイズ。これを部屋に置いておくと、スマホ画面で押したボタンに応じて赤外線信号を発し家電を動かす。

社長の趣味、ホームシアターがきっかけ

きっかけは後藤社長の趣味、ホームシアターだ。音響、スクリーン、プロジェクター、部屋の照明。「1本の映画を見るのに10個のリモコンが要る」。ボタンを一つ押すだけで全ての家電を動かせないか。

2007年、米アップルの初代「iPhone(アイフォーン)」を見た際、タッチパネルをリモコンにするアイデアが浮かんだ。09年にソフト開発会社を辞め、電子工作の入門書を片手に試作品を完成。11年に量産にこぎつけた。

外出先からも電話回線経由でエアコンを操作し部屋を暖めておける。昨年10月にはアンドロイド端末なら音声操作もできるようにした。累計販売台数は今年、1万台を超える見込みだ。

パナソニックなども最新の家電にはスマホによる操作機能を持たせている。ただ「家電を1社の製品でそろえる発想で、ユーザーからすればあり得ない」。異なるメーカーの機器間でも通信できる「エコーネット・ライト」規格の対応家電も登場しているが、普及には時間がかかりそうだ。

家電の統一・遠隔操作はスマートハウス(次世代省エネ住宅)のキーテクノロジー。アイリモコンは昨春、ホンダの実証実験住宅に採用された。大手住宅メーカーのモデルルームにも採用を働き掛けている。

ビーサイズの自然光ライト 存在「消える」シンプル構造

継ぎ目のない直径15ミリのパイプ1本を4カ所折り曲げた造形。端のスイッチに触れると、柔らかい光がゆっくり膨らむ。11年設立のビーサイズ(神奈川県小田原市)が開発した「ストローク」は卓上ライトながら4万円弱もする。だが自社サイトの直販だけで1年に約600台を売り上げた。

自然光にどれだけ近いかを示す「平均演色評価数」は90以上。美術館の照明並みに性能が高い発光ダイオード(LED)を組み込んだ。「青みも黄みもない。これが正しい色が見える光」と八木啓太社長(29)。シンプルな本体は、機器の存在を消し「光だけあればいい」という発想だ。

社長が設計から販売、組み立てまで

設計、デザイン、販売、そして一時は組み立てまで自ら手掛けた八木社長は「ひとり家電メーカー」の異名を持つ。1998年発売の米アップルのパソコン「iMac(アイマック)」への憧れが原点。大学で電子工学を学びながら独学でデザインコンテストに応募。富士フイルムに入社すると、今度は機械工学分野に志願した。

医療機器に携わっていた09年、ストロークに使うLEDとの出合いが独立のきっかけ。家賃6万円のアパートで試作を繰り返した。「ひとりで作る」思いを支えたのが安価な設計ソフトや町工場の存在だ。

約100カ所の工場を調べ15社の協力を取り付けた。「20年前は初期ロット1万台、資金は億円単位が必要だった。今は100台から個人の手持ち資金でできる」。ネット上で知名度が急上昇。11年末の発売直後の2カ月で10台程度だった販売台数は昨年9月には100台に増えた。今年は圧縮木材でデザインしたスマホ用充電器を発売する。

大手メーカー勤務の友人が1人合流するが「組織として成長するつもりはない」と話す。「『自分はこれが欲しい』という主観こそ大事。協力企業と製品ごとに最適チームを組めば、10人でもソニーになれる」

バルミューダの空気清浄機 集塵に絞り機能磨く

バルミューダ(東京都武蔵野市)が昨年11月に発売した空気清浄機「ジェットクリーン」(4万6800円)の高さは70センチ。最大出力に設定すると、うなりをあげて空気を側面から吸い込み、上部から吹き出す。やがて天井から壁を伝って部屋の反対側から風が循環するのを感じる。寺尾玄社長(39)は、清浄機というよりも「空気の掃除機」と表現する。

家電製品は多くの人が既に持っている。「売るために重要なのは販促や価格ではなく『これで生活が良くなる』という実感だ」。寺尾社長は27歳でモノづくりを志し、町工場に飛び込み一から学んだ。会社設立は03年。最大の強みは「常識を疑う素人であること」。

清浄機で大手が競うイオン放出機能は「効果が確認できない」として一顧だにせず、集塵(しゅうじん)力に全精力を注いだ。毎分最大6千リットルを吸引し、細かく折り畳まれた全長8メートルのフィルターでホコリを除去する。花粉のような大きな粒子の捕捉力も高い。その集塵力ゆえ、フィルターは1年交換を推奨する。

2010年に発売した扇風機「グリーンファン」がヒット

同社が「風の改革」に挑むのは2度目。10年に発売した、2重構造の羽で自然な風を再現する扇風機「グリーンファン」は、特殊なモーターを使い消費電力が最小3ワットと従来品の数分の1。節電需要も捉え、12年は前年の2倍を生産しながら品切れ店が続出した。

もはや進化はないと思われた成熟市場に投じた一石。発案当初、周囲からは「やれるなら大手がやってるよ」との声も投げつけられた。生活家電はベンチャーが挑むには困難な分野に見えるが、寺尾社長は「デジタル化不能で、最後までアイフォーンに取り込まれない」と有望視する。

次に狙う市場は欧州。「消費者の理解力が高く、世界に通じるブランド力をつけられる」。昨年9月に独ベルリンの家電ショーに出展し、バイヤーらから好感触を得た。現地法人を設け、今春にも新風を吹き込む。(石森ゆう太)

[日経MJ2013年1月14日付]

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