介護保険は高齢者の自立に本当に役立っているか

介護保険制度が「要介護高齢者の自立支援」という本来の役割を果たしていないとの批判が強まっている。自立どころか、かえって制度に依存する人を増やしている場合が多いという。どういうことなのか。そもそも高齢者の自立とは何だろうか。

できないこと補うだけでは自立は困難

東京都に暮らすA子さん(80)は腰痛が激しく自宅に閉じこもりがち。介護保険では軽度の「要支援2」判定。月約10万円相当のサービスが1割の負担で利用できる。それではと、訪問介護ヘルパーを使い、不便を感じていた買い物や掃除などをしてもらうことにした。この使い方は正しいのだろうか。

保険料を払っているのだから、介護保険でサービスを利用し、困り事を助けてもらうのはおかしくない。ただ自立支援という保険制度の観点からは正解とは言い難くなる。

東京海上日動ベターライフサービスのシニアケアマネジャー、石山麗子さんは「利用者や家族に何らかのよい変化をつくらないと自立支援とは言えない。できないことを補うだけでは状況は変わらないばかりか悪化の恐れもある」と忠告する。

適切な介護計画できていないところ多く

本来は高齢者の状態、その状態をつくった原因をきちんと調べ、生活していく上での課題を把握し、目標を設定して、そのために必要なサービスを提供していく介護計画(ケアプラン)づくりが必要とされる。プランをつくるのがケアマネジャー(介護支援専門員)と呼ばれる専門職。ところが適切なプランができていない例が多い。

A子さんの場合、調べると腰痛の原因は骨粗しょう症と筋力低下。そして本人は自由に外出したがっていた。すると「自由な外出」を目指して、腰痛を軽減していく対策を練ることが求められる。「主治医と連携して治療で痛みを和らげながら、筋力アップのための訪問リハビリテーションの利用、骨粗しょう症のための栄養改善なども必要」(石山さん)となる。

地域でプランづくり進める自治体も

ケアマネジャーは介護や医療現場での実務経験がある人が取る資格。10万人以上が現場で働いているが、「高齢者の状態把握ができていない」「高齢者本人や家族の言いなりになっている」などと批判されていた。