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宝塚歌劇団月組公演「ベルサイユのばら」 伝統引き継ぎ、祝祭のような空間

2013/1/23

名作は古びない。逆に古びないから名作といえるのかもしれない。宝塚歌劇団月組公演「ベルサイユのばら」(池田理代子原作、植田紳爾脚本・演出、鈴木圭演出)を見て、改めてそう感じた。1974年の初演以来、バージョンを変えながら繰り返し上演されてきた、タカラヅカを代表する作品。2001年初舞台のトップ、龍真咲(りゅう・まさき)、03年初舞台の準トップ、明日海りお(あすみ・りお)、09年初舞台の娘役トップ、愛希れいか(まなき・れいか)というフレッシュな月組が伝統を引き継ぎ、観客と一体となった祝祭のような空間を作り上げている。

オスカルを演じる龍真咲

舞台は革命に揺れ動く18世紀フランス。「オスカルとアンドレ編」と副題にあるように、代々王家を守る貴族の六女に生まれながら、父親の意向で男子として育てられた男装の麗人、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェと、身分違いの恋と悩みつつも彼女を一心に愛する幼なじみ、アンドレ・グランディエの恋愛が中心に描かれる。王宮警護を担う近衛隊の隊長を務めていたオスカルだったが、王侯貴族の浪費のあおりで平民たちが重税と貧困にあえいでいるのを知り、国民を守る軍隊である衛兵隊を志望する。

衛兵隊の隊士はアラン・ド・ソワソンをはじめ、気性の荒い男ばかり。貴族出身、しかも女性で隊長となったオスカルに反抗的な態度を示す。しかし、隊士たちが家族の暮らしを支えるため、食糧を持ち帰ったり、支給された武器をお金に換えたりしていた事実が判明しても、オスカルが「責められるべきは自分たち貴族だ」と語るのを見て、彼女に心を開く。一方、パリでは新聞記者のベルナール・シャトレが、自由で平等な社会を作ろうと呼びかけていた。彼の妻で、以前ジャルジェ家に仕えていたロザリーは、オスカルが衛兵隊に移ったのを知り、その身を案じる。

アンドレ役の明日海りお

オスカルを演じるのは龍(明日海との役替わり)。貴族に生まれながら平民の側に立つという強い意志を持つ役柄だけあって、軍人姿はとてもりりしい。しかし、いつもそばにいてくれたアンドレが、異性としても大切な存在であることに気づいた後、彼に示す態度はとても愛らしい。自室でバイオリンを弾く姿にも女性らしさがにじみ出ていた。切り替えは自然体。まさに宝塚の男役にぴったりの役柄であることが実感できた。

アンドレは明日海(龍との役替わり)。以前にオスカルをかばって受けた傷が原因で視力を失いつつあるが、彼女に心配かけまいと必死で隠し通す。近衛隊士官のジェローデルとオスカルとの結婚話が持ち上がっていると知った時には毒薬を手に彼女の部屋を訪れる。オスカルが自分のもとを去ったら生きている意味はない――。明日海演じるアンドレからはそんな真っすぐな思いが伝わってきた。

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