恋人以上夫婦未満? 中高年「緩やかな絆」を志向

独身の中高年の間で、つかず離れずの「緩やかな絆」を心の支えにする生き方が広がっている。50歳時点で1度も結婚経験がない人の割合を示す生涯未婚率は男性で2割、女性も1割を超えた。熟年離婚も多い。彼らは今後の心身の不調や老後の不安に、結婚とは別の方法で備えようとしている。

結婚せず「伴侶」

「ナゴヤ家ホーム」は共用部(手前)と2~3部屋の個室で構成するシニア向けシェアハウスだ

栃木県に住む男性Aさん(61)には「別居伴侶」がいる。法律上の婚姻関係はないが、互いを尊重し困った時は助け合うことを約束した間柄。いわば恋人以上夫婦未満の関係だ。

50歳で離婚。3人の子どもはすぐ成人した。「会社から帰り、一人でぽつんと過ごすむなしい時間に耐えられなくなった」。54歳で1歳年下の相手と巡り合ったが、同居する子どもへの遠慮や近所の目があり、結婚に踏み切れなかった。悩んでいたが、別居伴侶を選択した。現在、電話は週1回で、車で1時間半かかる相手に会うのは月1回くらい。それでも「互いを理解し合う相手がいるのは心強い。1年1年を大切に生きていく」と話す。

シェアハウス型の市営住宅も

Aさんの仲を取り持った中高年専門結婚仲介の太陽の会(東京都中野区)によると、10年前から別居伴侶を選択するカップルが増え、今では年百数十組のうち2割以上を占める。これまでは「離婚して子どもがいる」「財産や相続の問題が絡んで親族から反対される」などの理由が多かった。斎藤尚正会長は「相方は欲しいけど、今さら生活のリズムは変えられないという女性の希望が目立つ」と近年の傾向を語る。

今や珍しくない独身の会社員が次の生き方を模索する時、一人で生きていく不安やリスクをいかに和らげるかは切実な問題だ。

名古屋市は12年から、60歳以上を対象にしたシェアハウス型市営住宅「ナゴヤ家(か)ホーム」の展開を始めた。60~70平方メートルの団地の空室を改築。居間やキッチン、風呂などの共用部と、独立した2~3部屋で構成する。今年は3月入居分として10室、計26人分を用意した。今後10年で100室に増やす計画だ。

これまで単身者は55平方メートル以下の物件しか応募できず、競争率は40倍超と高い。市住宅管理課の杉岡博之係長は「狙いは2つ。単身者の急増という社会変化への対応と、市の把握分だけで年40~60件に達する孤立死を防ぐため」と話す。

市内在住の男性Bさん(58)は「2年後には応募しようか」と考えている。自動車関連メーカーの嘱託社員で独身。10年暮らすアパートの人とは挨拶をする程度の仲で、親兄弟も近くにいない。「今は元気だけど、一人で生きる気力が続くか心配」と打ち明ける。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧
次のページ
NPO法人が相談役に
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧