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「会社人」より「社会人」 中高年が志向するプロボノとは

2012/11/26

 仕事を持つ人が自らの専門知識や経験、技術を使ってボランティア活動をする「プロボノ」を始める人が増えている。最近目立つのは、40~50代の会社員の参加だ。普段の「会社人」とは別の「社会人」をめざそうとする中高年の熱意は、「次の生き方」にもつながる。
大西純さん(中央)ら「プロボノ」は不妊に関する啓蒙活動を行う女性グループを支援する(東京都港区)

 11月中旬の夜。東京都港区の区立施設の会議室で議論が熱を帯びていた。テーマは、卵子の老化と妊娠適齢期について多くの女性に知ってもらおうという、特定非営利活動法人(NPO法人)認定申請中の団体の活動をどう広めるか。

 「ここから助成金をもらっていると公表することで信頼度がアップする」「団体として何がやりたいかをしっかり決めないと、継続的に活動しにくい」

 不妊治療をしている女性メンバーを相手に次々と意見を出すのは、不動産や金融、IT(情報技術)などが本業の会社員男女5人。終業後の時間を使い、プロボノとしてこの団体の活動を助けるプロジェクトに参加している。

■自分の役割を実感

 申請団体代表の森瞳さんは「議論する中で、自分のしたいことが一層明確になり、道筋が立った感じ。周知する女性像を絞りこまないといけないと勉強になりました」と満足げだ。

 プロジェクトのリーダーを務める大西純さん(44)はメガバンクに勤務。昨年、震災復興を考える会合に出た際、初めて「プロボノ」という言葉に出合い、「自分にもできそう」とプロボノを派遣する団体に登録した。最初に知的障害者の社会参加を促すNPO法人のパンフレット作りに関わり、はまった。金融の知識を駆使したわけではない。組織運営の経験を生かし、進行具合をチェック、助言する担当だった。

 「会社の中で役割は果たしているが、社内の評価でしかない。肩書のない世界でやってみて、自分の役割が社会の中にもあると実感した」と大西さんは語る。

 NPO法人を支援するプロボノ団体、サービスグラント(東京都渋谷区)代表理事の嵯峨生馬さんによると、2005年の活動開始当初、プロボノとして登録する人は20代後半から30代前半が圧倒的多数だった。それが、ここ2年間で年齢層が広がり、40代が増えて50代も現れた。年間登録者も30人程度だったが今は約400人となり、累計約1500人に。かつての女性6割が、今は男性が6割近くと逆転した。

 嵯峨さんは「社会的問題をビジネスで解決するソーシャルビジネスや社会起業家が広く知られるようになったことが大きい」と説明する。中高年も興味を持ったが、みなが会社を辞めて起業家になれるわけでない。「プロボノは仕事を続けながらソーシャルビジネスに関われる現実的な方法と感じたのでは」と分析する。

 ▼プロボノ ラテン語の「公共善のために」という言葉に由来する。仕事で培ったスキルや知識を提供するボランティア活動のことで、普通のボランティアとは異なる。欧米に続き日本でも広がる。弁護士など専門職が最初に取り組み、一般の会社員も近年増えた。

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