2012/11/19

職場の知恵

「去年の自分を超える」

運動志向の高まりは働く中高年共通の現象だ。大阪市内の法律事務所に勤める弁護士、池田佳史さん(50)は、25日に迫った第2回大阪マラソンに向けて練習を重ねる。初めてのフルマラソンだった昨年の第1回大会は4時間30分21秒。出場当選通知が届いた半年前から1000キロメートル走ると決め、それを達成して臨んだが目標に21秒及ばなかった。「去年の自分を超える」と静かに意気込む。

今は朝5時半に起きて自宅周辺を5キロメートル、週1回は事務所から自宅まで14キロメートル走って帰る。「もう年だし、膝も時々痛めるけど、自分の体が進化している実感がある」「自分で目標を定め、それを一つずつ乗り越えていくプロセスが快感なのかな」と充実した口ぶりだ。

結果だけを求めないという点では、人気が年々高まるトレイルランニングも同様だ。富士山麓の山中156キロメートルを制限時間48時間で走る5月の「ウルトラトレイル・マウントフジ」第1回大会の参加者は4割超が40歳代。50歳代は20歳代の約4倍に達した。長い長い行程に自らを重ね合わせるように歩を進める中高年世代の姿がある。

かつて“中高年サラリーマン”のオフは家族団らん、レジャーや買い物とほぼ同義だった。真逆にも映る彼らは、体を酷使しながらも「一生懸命になれる時間」を持つことで心の充足を得ているようだ。

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60代に運動する習慣広がる

笹川スポーツ財団(東京都港区)の今年の調査でも、中高年が熱心にスポーツに取り組む姿が見てとれる。「週2回以上、1回30分以上、ややきつい強度の運動をする」人の割合が最も高いのは60歳代(26.2%)で、10年前に比べて約2倍になった。ウオーキングや散歩、体操など、個人でできる種目で体を動かす習慣が広がっている。

全国各地で大会参加者が増えているランニングに「年1回以上取り組んだ」のは全体の9.7%。世代別では20歳代(15%)が最も高いが「週2回以上」の高い頻度で続けているのは40歳代(5.7%)だ。特に40歳代男性の熱心さは顕著で10年前に比べて10倍に増えた。女性は週2回走る割合が高い20歳代でも40歳代男性の約3分の1だった。

藤原直幸研究員は「40~50歳代の“走り始めた男たち”がマラソンブームをけん引している。大会や練習を通して、日常の中で仕事以外の達成感を味わいたいのでは」と分析している。