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松竹と吉本、2大「新喜劇」 ライバル対決に迫る

2012/11/10

新喜劇といえば大阪。二大勢力が「松竹新喜劇」と「吉本新喜劇」だ。藤山寛美の爆発的人気に、ほろりとさせる名作で人気を誇った松竹。お約束ギャグで抱腹絶倒の舞台を毎日届ける吉本。生い立ちはどう異なっているのか。
松竹新喜劇「親バカ子バカ」でコンビを組む藤山寛美(左)と二代目渋谷天外(1974年5月、京都・南座)(C)松竹

16~25日の大阪松竹座(大阪市中央区)での「松竹新喜劇錦秋公演」。落語家の桂ざこばが特別出演し、劇団代表の三代目渋谷天外とともに「鼓(つづみ)」と「駕籠(かご)や捕物帳」の2作を上演する。チラシにはそれぞれ「師弟愛を描いた傑作」「新喜劇が誇る爆笑まげ物名作」とうたう。代表作の再演らしい。

松竹新喜劇の製作に長年携わる松竹関西演劇部の演劇製作室を訪ねた。「明治期に歌舞伎から転身し上方喜劇を創った曽我廼家(そがのや)五郎十郎一座の流れをくみ、1948年に誕生しました。作品を重視してタイトルや役名が語り継がれるのが特徴」(牧原広幸室長)。「桂春団治」「はなの六兵衛」「人生双六(すごろく)」。「幸助餅」は歌舞伎の本公演でも上演される。

例えば「はなの六兵衛」は上方喜劇の祖、曽我廼家五郎、「人生双六」は戦前から活躍した曽我廼家十吾の作品だ。ともに寛美が戦後、繰り返し上演し当たり役に。今回上演する2作の作者、舘直志は二代目天外の筆名。二代目は約500作の脚本を残し、寛美とともに名作の再演を重ねつつ新作を世に送り、松竹新喜劇の隆盛を招いた。

「吉本新喜劇」で一時代を築いた岡八郎(右)と花紀京

 一方の吉本。おなじみのテーマ曲とともに、毎日なんばグランド花月(NGK、同区)で幕を開ける。現在もテレビ放送が続き、関西の子どもらに大人気だ。

吉本新喜劇誕生の舞台裏を知る吉本興業の竹本浩三・文芸顧問にそのウリを聞くと「ギャグを言う芸人が財産。タイトルや役名は重要でない」と言い切る。確かにギャグは個人のもの。チラシを見るとタイトルより出演者の顔が目に入る。新作を次々に上演するのも特徴だ。「当初から10日間程度で演目を変えた」という竹本氏は、創成期に月40本もの脚本を書いた。

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