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インド版「巨人の星」の裏に意外な人脈図 編集委員 小林明

2012/10/19

表5

 インドのテレビ番組市場はどうなっているのか?

 信頼できるビジネスパートナーはいるのか?

 事業資金はどう調達したらよいのか?

 分からないことばかりで課題が山積。まったくの手探り状態だった。2人はそれぞれ社内で様々な業務に取り組む傍ら、インド版「巨人の星」プロジェクトの調査・準備作業を細々と続けるしかなかった。

■1年後に転機到来

 事態が大きく動き出すのは、それから1年ほど過ぎたころのことだ。

 「2人が追い掛けている夢に共感している。ぜひ協力したい」。うわさを聞き付けた全日本空輸のインド代表(ムンバイ・デリー支店長)の杉野健治さんが、スポンサー候補に名乗りを上げたのだ。杉野さんも1965年生まれの「東京五輪世代」。「クリケット、アニメ、努力と根性など、インド人が好きな要素が満載。しかも日本文化をインドに普及させることができる」(杉野さん)。早速、社内の根回しを進めてくれた。

 ソフトパワーを生かした「クール・ジャパン戦略」に取り組みつつあった経済産業省も支援に乗り出した。

 2011年3月には古賀さんらに参加を呼び掛け、ムンバイで日印の企業交流会を開催。さらに今年4月には枝野幸男経産相がインドを訪問し、アニメ、映画、デザイン、繊維、食などの分野で経済交流を促すことでシャルマ商工相と合意(日印クリエイティブ産業協力)。インド版「巨人の星」を「クール・ジャパン戦略」のモデル事業に位置付けるようになった。

■「東京五輪世代」を通じて…

表6

 枝野経産相も1964年生まれ。「クール・ジャパン戦略」を担当する当時のクリエイティブ産業課長の渡辺哲也さん(現内閣参事官)も1964年生まれ。ともに「東京五輪世代」だ。「共通体験があるのですぐにピンと来る部分が多い。こちらの意図もうまくくみ取ってもらえる」(古賀さん、宇都宮さん)。

 枝野経産相は「野球では阪神ファンだけど……」と笑いながらも、「企業交流や規制緩和の促進などで側面支援したい」と意気込む。

 こうして、「東京五輪世代」人脈を通じてプロジェクトが動き始めた。

 11年夏には「巨人の星」を制作していたトムス・エンタテインメント(東京)に依頼したイメージビデオも完成し、スポンサー交渉やインドのアニメ制作会社、テレビ局との提携先探しにも弾みが付いた。

 やがて、主幹事=講談社、制作幹事=トムス・エンタテインメント、スポンサー窓口=博報堂、現地制作=DQエンターテインメント、現地放映=カラーズ――という日印企業の事業形態の骨格が確定。さらに放映開始は今年12月23日からで、30分×26話(毎週日曜日朝10時、6カ月放映)とし、スズキ、コクヨ、日清食品、全日本空輸、ダイキン工業などをスポンサーにする方向も固まった。

 コクヨや日清食品はアニメのキャラクター商品をインドで販売する計画も打ち出した。

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