子どもを犯罪から守るIT監視網、最新事情

2012/10/15

安心・安全

子どもたちは放課後、どこにいるのか。都市部を中心に街中で遊ぶ姿が減る一方で、下校中などの犯罪被害は後を絶たない。共働きや単身世帯の増加などで地域に大人の目も届きにくくなった。子どもたちは誰に見守られ、どう過ごしているのか。小学生の今を追った。

ケーブルテレビの見守りサービス

次々にかかってくる通報を受け、オペレーターは子どもたちに直接話しかける(東京都品川区)

電線に付けられた無数のセンサーや防犯カメラ、さらには全地球測位システム(GPS)で居場所を常に見張られ続けたら、どう感じるか。居心地の悪さを覚える大人は多いだろう。今、子どもたちの居場所はその監視下にある。

「息子が家を出た直後に車の事故。衝撃音にあわてたが、すぐ子の位置情報メールが届き胸をなでおろした」。埼玉県の主婦、小川恵美さん(42)はほっとした様子で先日の出来事を話した。小学生の息子2人のため使っているのは、蕨ケーブルビジョン(埼玉県蕨市)の見守りサービスだ。

街のケーブルテレビの電線に取り付けた読み取り装置で、ICタグを持つ子の位置情報を把握。登録した地点に子が近づくと、その時間と場所を保護者にメールで知らせる。専用サイトの地図では子の位置をつかめ、移動経路も見られる。

「息子の帰る時間が予測できるから、時間を有効に使える。帰ってこないときも冷静でいられる」と小川さん。ICタグは1個3150円で月額利用料が同315円。「それで安心を得られるなら」と重宝がる。

特に危険なのは下校時

子を見守るため、ITの目を積極的に利用する親が増えている。商機を狙うのは警備会社など。セコムの見守りサービス「ココセコム」の場合、サービス加入料5250円のほか、毎月最低でも945円の基本料金がかかる。それでも利用者が増えるのは、子どもの放課後が脅かされている現実があるからだ。

警察庁によると、小学生の犯罪被害は2012年上半期だけで8608件。大阪府では小学生以下の子に対する暴行などの犯罪が07年から11年までに1.5倍になった。中でも午後4時など下校時間帯の多さが目立つ。親も常に子に付き添い続けることはできない。だからITの目に頼る。

「娘が遠出する際の不安が半減した」と話すのは神奈川県に住む会社員、西久保篤志さん(44)。夫婦共働きで、小3の次女にココセコムの端末を持たせる。きっかけは東日本大震災。余震のたびに娘の居場所に不安を感じたためだが、サービスへの満足度は高い。

子どもを見守るITの目は親子の判断を超えて広がっている面もある。

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