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職場の知恵

「6時間勤務」の正社員 埋もれる労働力、掘り起こせるか

2012/10/9

正社員なのに6時間勤務の企業がある。仕事の成果をより少ない時間であげて生活を充実させるワークライフバランス(仕事と生活の調和)の必要性が叫ばれて久しい。短時間勤務は生活をどう変えるのか。2社の事例から探った。

■仕事を通して交流広がる

【ケース1】

池野さん(右)は初めてのアパレルの仕事にやりがいを感じている(大阪府堺市)

女性衣料ブランド「アースミュージック&エコロジー」を展開するクロスカンパニー(岡山市)は昨年8月、6時間正社員の中途採用を始めた。その1人、大阪府和泉市に住む池野桃さん(29)は近隣の堺市の店舗で販売職として働いている。

「本日は20%オフです」「大きめのストールは春の服にも合わせやすいですよ」。笑顔で接客にあたる池野さんは3年前に結婚し、東京から夫が勤務する大阪に引っ越した。アクセサリー製造の中堅企業の正社員だったが新居の近くに事業所はなく、すぐ子どももできたために退社した。

「いつか家族を増やしたい。マイホームも欲しい」。池野さんは子どもが2歳になったら共働きをして世帯収入を増やしたいと考えていた。今は5人の同僚の協力を得て、夕方に勤務が終わる早番シフトに入る。「夫は転勤がない仕事なので、私も大阪で長く働きたい。見知らぬ土地で不安だったけれど、仕事を通して交流も広がった」と笑う。

フルタイムで働く社員が出産や育児などの理由で一時的に短時間勤務に切り替える制度の整備が義務化されたが、最初から短時間前提の正社員採用は珍しい。張替勉取締役は「都市部の企業で勤務経験がある能力の高い女性でも、郊外では仕事内容に満足できるパート職すら少ない。家庭と両立できる環境整備をして『埋もれている労働力』を掘り起こしたい」と狙いを語る。

■正社員職に巡り合う

千葉県市川市の店舗で働く本多麻由さん(34)は、5歳の双子を育てるシングルマザーだ。設計事務所とレストランのバイトを掛け持ちしていたが、子どもの将来を見据えて正社員職を探していた。

休日が月8日に増えたために毎月の収入は下がったが、子どもと過ごす時間と心理的な余裕は大幅に増えた。昇給やボーナスのほかにフルタイム同様の研修や休暇制度もあり「頑張れば認めてくれるので、やりがいがある」と本多さん。子どもが大きくなった後の目標として、前職の経験を生かした店舗デザインの仕事にも意欲をみせる。

クロスカンパニーにはこれまで6時間正社員として45人が入社、さらに短い4時間正社員も20人いる。今後も採用を継続する方針だ。

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