「名字の成り立ちはいくつかの要因に分かれる」と森岡さんは言う。

鍛冶屋、粉屋、仕立屋……

表2

大きな流れが、職業にちなんだ名字。欧州から来た移民などに多い傾向があるようだ。

主な事例をまとめたのが表2。ランキング首位のスミスは鍛冶屋にちなんだ名字。「中世の荘園では領主の馬の蹄鉄(ていてつ)を打ったり、農機具の修理などを行ったりする重要な職業だった」(森岡さん)。

ミラーは粉屋、テイラーは仕立屋にちなんだ名字。「川のほとりにはよく水車小屋(water-mill)があり、水車で小麦をひいていた。生活必需品の衣類の仕立ても重要な職業で数が多かった」(同)。これら「鍛冶屋、粉屋、仕立屋」が職業姓の三大勢力だそうだ。

蛇足だが、ドイツの名字では、鍛冶屋がシュミット(Schmidt)、粉屋がミュラー(Muller)、仕立屋がシュナイダー(Schneider)となるそうだ。

ゲイリー・クーパーやハリー・ポッターは?

さて、この表によると、女優のエリザベス・テイラーさんは仕立屋、俳優のゲイリー・クーパーさんは桶(おけ)屋、劇作家のアーサー・ミラーさんは粉屋、歌手のティナ・ターナーさんは旋盤工、小説の「ハリー・ポッター」は陶工、「鉄の女」と言われた英国の元首相サッチャーさんは屋根ふき職人にちなんだ名字だということになる。

実際にそうかどうかは不明だが、あれこれ空想を巡らすだけでも楽しくなってくる。

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「マック」の意味とは?