大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012地震の被害経てアートの概念広げる

2012/8/28

新潟県の山村地域に現代アートの数々が姿を見せ始めて12年。美しい棚田の風景にオブジェがたたずんでいたり、廃校小学校の体育館にたくさんの扇風機が並ぶ不思議な光景が現れたり。2000年に始まり第5回を数える「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、地域の顔たるイベントとして定着したように見える。

大地の芸術祭は新潟県十日町市と津南町の760平方キロに及ぶ広大な地域で開催されている。棚田や山道の合間にオブジェがあったり民家の廃屋を再利用した展示施設があったり。里山の環境とアートの共存を目指す。写真は松之山エリアの「収穫の家」

高齢化と過疎化が進む山村で、なぜ現代アートが居場所を見つけたのか。今年の展示は、どんな驚きを与えてくれるのか。様々な思いを胸に、JR東京駅を上越新幹線で出発、越後湯沢駅でほくほく線に乗り継いで同県十日町市のまつだい駅で降りた。

もっとも、駅周辺で見られる作品は、全体のごく一部でしかない。十日町市と同県津南町を合わせた760平方キロに及ぶ地域に、過去の同芸術祭から継続的に設置している作品を含めて約360点が点在している。移動に時間がかかるので、1日や2日ですべてを見るのは不可能。芸術祭自体、1人の客にすべてを見てもらうことはもともと想定していないという。

さっそく向かったのが「農舞台」と呼ばれる建物だ。イリヤ&エミリア・カバコフが2000年の第1回開催時に棚田に立てた農民のシルエット風の彫刻作品「棚田」を横目に見ながら歩いていると、ヤモリの群れらしきものがいくつかの柱にまとわりついている。高橋賢悟の彫刻作品「やもり」だった。ヤモリは都会でも身近な動物だが、群れに出会うことは通常ないだろう。見た瞬間はぎょっとしながらも、忌避する気持ちよりも親しみが勝ってくる心の変化を感じた。

イリヤ&エミリア・カバコフ「棚田」。農舞台の建物の中から見ると、文字と一緒に鑑賞できるようになっている
「里山アート動物園」より、高橋賢悟「やもり」。ハエの彫刻も混じっている

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