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まず大阪管区気象台の天気相談所を訪ねた。「近畿も含めた今年の日本の暑さの要因は、日本列島の上空を高気圧がすっぽり覆っていること」と宮北吉美所長。強い日差しで地表が温められ、気温がグングン上がる状態が続いている。
数字で確認してみよう。8月20日現在、最高気温が35度以上の猛暑日の日数は、豊岡市が24日と全国1位。熊谷市の20日、多治見市の18日を抑え堂々のトップだ。近畿では京都市と京都府京田辺市が18日と続いている。
一方、最高気温から1日の平均気温に目を移すと、30度以上の日数は20日現在、京都市が14日と全国3位。1位の岡山市(17日)、2位の福岡市(15日)に次ぐ。近畿では大阪市や堺市、豊岡市が11日で続く。
「全国的に見ても近畿地方が暑いことが分かりますが、その中で最も暑い地点を選ぶには、観測史上最高の暑さや30年分の平均をまとめた平年値でも比較して見た方がよいでしょう」。宮北所長がアドバイスしてくれた。そこでまず観測史上の近畿の気温トップ10のデータ(表1)を調べた。
近畿の観測史上の最高気温は和歌山県かつらぎ町の40.6度。次いで大阪府豊中市、京都市と続くが、ほとんどが1994年8月5~8日の記録だ。94年は今年と似て、日本上空に高気圧が居座り連日の晴天続き。加えて南東風が紀伊山地を越え、暖まった空気が近畿を襲った。大阪府枚方市では3日続けて39.5度を超えた。
「近畿で気温が上がる典型的なパターンです」。ヒートアイランド現象の研究者で神戸大学大学院工学研究科の竹林英樹准教授(都市環境工学)は指摘する。南東寄りの夏の季節風は近畿の気温が上がりやすい要因の一つ。これに盆地など、地形的な要因が加わる。