生産量が前年の1.5倍に レコード人気、急回復のワケデジタル世代には新鮮な響き

レコードの試聴もできる(東京都千代田区のディスクユニオン)

この企画が起爆剤となり、12年1~6月のディスクユニオンの店舗への来店客数は前年同期比1割ほど増えたという。ディスクユニオンの塙耕記さんは「若いときにレコードを集めて、しばらく離れていたという団塊の世代の来店が目立つ」と話す。

一方で「ザ・ビートルズ」やアニメ「けいおん!」などのデザインをあしらった同社独自企画のレコードバッグなどファッションを入り口として、一昔前は皆無だった20~30代の女性も来店するようになっており、年齢層の裾野は広がっている。

紙のジャケットが朽ちていく魅力

レコード本体だけではなく、ジャケットの魅力も大きい。東京都新宿区に住む元会社役員の男性(56)は、レコードを飾れるよう自宅マンションを改装するつもりだという。約100枚所有するレコードの一部を並べられるよう入り口からリビングまでの壁に棚を備え付ける計画。「訪問客にジャケットを見てもらい、気に入ったら実際にプレーヤーにかけて聴いてもらいたい」。スピーカーとプレーヤーはすでに用意した。

もろさも否定的に捉えるばかりではない。レコードのみをかけるジャズ喫茶「ジャズオリンパス!」(東京・千代田)を経営する小松誠さん(54)は「紙のジャケットが朽ちていくのも魅力の1つ」と話す。

米アップルの音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)ストア」の機能が近く拡充される見通しとなるなかで脚光を浴びるレコード。デジタル一辺倒の流れに対する抵抗感を暗示している。ディスクユニオンの塙さんは「音楽配信で音だけを手に入れるのを味気ないと感じている消費者は少なくない」とみる。ちょっと立ち止まって音楽の楽しみ方を考え直してもいいのかもしれない。

(戸田健太郎)

[日経MJ2012年7月30日付]

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