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還暦ベンチャーのすすめ、シニアこそ起業の適齢期 ライフネット生命保険社長 出口治明氏

2012/8/24

インターネットを販売チャネルとするライフネット生命保険の出口治明社長は、還暦になって同社を立ち上げた。パートナー(副社長)には30代の岩瀬大輔氏を選んだ。新しい生命保険会社を、なぜ、シニア世代になってから起業したのか。30代のパートナーを選んだ理由は。ライフネット生命の起業物語は、定年間際のシニアたちに勇気を与える。

■60歳の時に保険会社をスタート

――出口さんは長年勤めた日本生命保険時代の経験を生かし、58歳の時に前身の「ネットライフ企画」を設立。生命保険業免許を取得してライフネット生命保険をスタートさせたのが60歳。シニア世代になってからの本格的な起業はあまり例がないですが、きっかけを教えてください。

でぐち・はるあき 1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部で経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に東奔西走する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役に就任。2008年にライフネット生命保険株式会社に社名を変更、生命保険業免許を取得。現在に至る。

出口 谷家衛さん(あすかアセットマネジメント社長)に誘われたのがきっかけです。「生命保険会社をゼロから作りましょう」と言われて、日本人の所得を調べてみました。20代、30代がフリーターが多いため、所得がすごく低い。これが、なかなか若者が結婚できない根本的な理由で、少子高齢化の原因と分かりました。インターネットを使い生命保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを産める社会を作りたいと思い、起業を決めました。

――保険料が半額になる理由を教えてください。

出口 すごく簡単な理屈です。例えば、缶ビールをスーパーで買ってくれば200円前後。でも小さい居酒屋に入ってビールを注文すれば、400~500円はかかる。人件費、物件費、家賃や光熱費が乗って価格が倍になるわけです。生命保険も同じです。ライフネットはネットの中にしか店がないけれど、レガシーと呼ばれている既存の生命保険会社は全国にリアルな店舗を1000店も1500店も展開しているから生命保険料が倍になるんです。

生命保険料は「純保険料」と言われる原価と「付加保険料」と呼ばれる会社の運営経費との二つから成っています。原価の部分はほぼ全社同じです。日本人の死亡率、がんになる確率はだれが計算しても一緒ですから。原価、純保険料に上乗せされる付加保険料が会社ごとに違うんです。

■GNP(義理・人情・プレゼント)では売れない時代に

――経費をそのまま乗せるということは、ほかの業界ではあまりないのではないですか。

出口 金融商品の世界では、どれだけが原価で、どれだけが手数料というのをオープンにすることは、そんなに特殊ではありません。投資信託は毎年経費がどれだけかかるかを明らかにしないと、本当の利回りが出ません。

――保険は特約があったり、ただし書きもいろいろあったりして、中身が分かりにくい商品ですね。

出口 人様に物を売るときはきちっと説明できなければいけない。わかりやすいものでなければいけないと思っています。生命保険の“一丁目一番地”は死亡保険なんですけれども、所得のある人、稼いでいる人がもし万が一のことがあったら、そのときには、これだけのお金を支払うというものです。生命保険のもともとの姿は実はシンプルなんです。

――日本人は生命保険好きのようで、セールスレディーに熱心に勧誘されると、商品の中身はお任せで契約する人も多かったようですね。

出口 20世紀の世界はそれでもよかったのです。野口悠紀雄氏は「1940年体制」という言葉で戦後の日本を表現しています。日本は発展途上で、統制経済の世界でした。銀行預金の利率は同じ、生命保険の内容、値段も同じでした。当時の大蔵省が金融を統制していました。日本を建て直すために資本の蓄積をしなければいけないので、それが正しい政策でした。

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