2012/8/10

耳寄りな話題

女性にも人気 洋風の独特な味付け

札幌市内を走る路面電車の西線9条旭山公園通駅を降りて北に歩く。「Bon no Kaze」とビルの壁面にある文字を頼りに入ったのは内装からしてスタイリッシュな店だった。焦げ茶のカウンター席に、大きなガラス窓の手前には器や花、ガラス瓶がカフェのようにきれいに飾られている。女性客も多い「凡の風」のつけ麺塩(南印風、750円)は遊び心たっぷりの味を堪能できること請け合いだ。

すーっと透き通った塩味のつけ汁が印象的だ。沈んでいるのは風味のある揚げネギと、さっぱり感を出す粗みじんにしたタマネギ、パセリ。メンマは材木のように太く、チャーシューがコクを出す。太めの麺を浸して食べると、強い塩味を感じる。すぐにカレーのようなスパイスの香りが広がり、あとからコンソメ味が染みてくる。少しずつ変化する、洋風を意識した独特の視点の味付けだ。

店主の杉村浩二さんは「スープは鶏ガラと豚骨から別々にとった清湯をあとで合わせるスタイル。太麺に負けないように、塩でエッジを利かせている」と話す。さらに南印風というだけに、ガラムマサラとほんの少しのカレー粉で独自の香りを演出している。

札幌育ちという杉村さんは元は広告代理店のサラリーマンだった。35歳で一国一城の主として勝負したいと、有名ラーメン店へと修業に入り、その後、独立を果たした。「学生時代に飲食店のアルバイトすらしたことがなかったから、ど素人です。でもだからこそ『この食材の組み合わせはダメ』『こんな味付けは常識外れ』といったセオリーを無視して自由な味を考えられるんだと思っている」

「凡の風」は大きな窓から採光するおしゃれな内装

杉村さんの話を聞くと、「常に変わらぬ味」を求めるのではなく、「おいしさが変わらないこと」を求めているんだとわかった。同じ味のラーメンを出し続けていては、何度も訪れておいしさに慣れた客は「何だか味が落ちたな」と思いかねない。だから変化をいとわず、進化を目指す。

例えば鶏ガラスープは最近、鶏の種類をあづま鶏に変えたという。さらに使うガラの量を増やして清湯のうまみを濃厚にしている。つけ麺の特製麺は変えていないが、ラーメンに使う麺は熟成型から、かん水を抑えた打ち立て麺に変更した。

つけ麺を食べ終えると「ぜひスープ割りを楽しんでください」と声がかかる。つけ汁の丼を渡すと、少しして熱々のスープになって返ってきた。塩が抑えられ、コンソメの味がうまい。軽くいためたベーコンが沈んでいる。「このスープで別売りのご飯を入れると、洋風茶漬けになりますよ」。次はぜひトライしよう。

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麺は自前で手打ち 繊細な魚介系スープにぴったり