進化する札幌ラーメン とびきりの名店教えます出張グルメの達人・札幌編(4)

札幌ラーメン第3世代――。2000年以降に開店した店の中には、努力と工夫を重ねたワザで支持を集める最先端の店がキラ星のように輝く。名店で修業を積み、伝統に回帰しながら新たに生み出した味。既成概念を打ち壊す斬新な発想。今の札幌ラーメン界を代表するホントにおいしい店をご案内しよう。

新横浜「すみれ」流の味に独自の工夫

札幌市営地下鉄東豊線の美園駅にほど近い住宅地に突如、トレードマークとなった客の行列が現れる。札幌でも屈指の人気店「麺屋彩未」だ。

店主の奥雅彦さんはもともと、味噌(みそ)ラーメンで知られる名店「すみれ」が新横浜ラーメン博物館に開いた店で働きながら、首都圏のファンの舌を魅了してきた。「ただおいしいものを作って届けるだけ」。言葉少なに自身の思いを語るこのラーメン職人は12年前に独立開店して以来、すみれ流の味に独自の工夫を加えて、繁盛店を育ててきた。

当時、純連・すみれは家族経営で他の料理人が入店する余地はなかった。カニ料理店出身という奥さんも大好きなすみれのラーメンを自分が作る側に回れるとは思っていなかったそうだ。

ところが新横浜進出のタイミングに合わせてすみれ入りが実現した。「感謝しましたね。そして大将のワザを盗むのに必死でした。まったく教えないのに、できると見込んだときに突然言われるんです。『これ、やれ』と」

彩未の味噌らーめん(700円)は口径の広い浅めの花器のような丼で出てきた。黄色い縮れ麺がスープに沈み、もやしにチャーシュー、上に載ったおろしショウガが目を引く。

「すみれ流8割、自分流2割」という味は確かに出身店とは違う。濃厚さよりも伝統的な味噌ラーメンに近づけている。もやしは強い火力でさっといため、シャッキリ感を前面に出す。チャーシューは表面をあぶっているのだろう、周囲の焦げた部分が香ばしく心地よい。

たっぷり載ったショウガは客が自分の好みで溶くという配慮だ。さっぱり感が味わいたかったら最初に全量をスープの中へ。最後に味の変化を求めるのなら、食べ進んでから溶く。嫌いなら最初から丼の外によければいい。

味噌、醤油(しょうゆ)、塩の基本味のみで、季節メニューなどを出さないのは「リズムを大事にしたいから」と奥さんはいう。

途中で従来と異なる細かい作業などが入ると流れが止まり、「座ったらそれほど待たせずに口にできる」というモットーを崩しかねないからだとか。

残念なことに休みなく重い鍋を振り続けたため、最近肩・腰の調子が悪い。平日の夜は調理を弟子に任せることが増えたが、そのときは店名を「さいみ」とひらがなにする。職人としての自負を感じる店だ。