NY目指した中野ブロードウェイ なぜオタクの聖地に編集委員 小林明

写真8 書店「タコシェ」

「まんだらけ」のほか、自主製作本を扱う「タコシェ」(写真8)、古本やポスターを扱う「トリオ」、カードを扱う「トレジャー」、ミリタリーグッズを扱う「ユーロサープラス」など、マニアックな品ぞろえで知られる店は少なくない。

客に私物の販売スペースを貸し出すレンタルショーケースや占い師が集まるコーナーも登場。世界的な前衛芸術家、村上隆さんらが出店したギャラリー(写真9)も4店あり、展示会などを催している。

最近では国際的にも有名になっており、外国人観光客の姿もよく目に付く。

なぜ小さくてユニークな店が多い?

写真9 村上隆さんらが出店したギャラリー「Hidari Zingaro」(3階)

ところで、なぜ中野ブロードウェイには小さくてユニークな店が多いのだろうか?

これにはれっきとした理由がある。

売り場が区分所有で、狭い間口の小さなスペースを地元の中小不動産業者に個別に分譲しているためだ。

全体を統括する大手の貸し手がおらず、各所有者が様々なタイプの店に自由に貸し出している。だから、店は小さいまま家賃が低く抑えられ、個性的な店がたくさん出店しているというわけ。

中野ブロードウェイにまつわる不思議をさらに2つ紹介しよう。


なぜ自分が何階にいるのか分からない?

写真10 吹き抜け構造なので、1階からエスカレーターに乗ると2階には止まらずに3階に直通。錯覚の原因に

まず、来店すると「なぜか、自分がいま何階にいるのか分からなくなる」という錯覚現象が起きるというのだ。

これにも理由がある。

1階からエスカレーターに乗ると、2階を通り過ぎてそのまま3階に着いてしまうという奇妙な構造が関係しているそうだ。これは、南側にある中野サンモールのアーケードの高さを中野ブロードウェイ内でも維持するため、天井を2階よりも高い部分まで吹き抜けにしたことが原因とされる(写真10)。

だから客は自分が3階にいるのに2階にいると勘違いして戸惑うことが多い。さらにフロアごとの雰囲気も似ているので、迷宮に入ったような感覚に陥ってしまうのだ。

写真11 4階北側の多くはシャッターが閉まっている

もう1つの謎は、なぜか「まんだらけ」の店舗が各階の南側に集中していること。

これにも理由がある。

南側の方が中野駅に近く、中野サンモールにも隣接しているため、客足が明らかに多いためだ。

逆に最も客足が少ない4階(商業スペースの最上階)の北側は倉庫や事務所が多く、通路沿いはシャッターが閉まり、ひっそりと静まり返っている(写真11)。客でごった返す店とはあまりにも対照的な風景だ。

これも不思議な雰囲気を醸し出す原因になっている。

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